ところが、日本の場合は、江戸時代以前の院政のようなイメージで捉える人もいた。いってみれば取締役会長である。前天皇の名称を上皇としたように、光格天皇の前例に従うという議論も出たし、皇室を上皇陛下、天皇陛下、皇嗣殿下の合議制で運営していけばいいというイメージも語られた。
しかし、それは、明治憲法や新憲法のもとではなじまないので、上皇陛下は序列では天皇陛下の次ということになったが、実質的な機能は分担されていない。
しかし、スタッフということでみると、上皇職は侍従職の80人態勢をほぼ継承、東宮職の50人態勢から新侍従職は80人態勢に、秋篠宮家の20人体制は東宮職に準じて50人の皇嗣職にということになった。
となると、上皇陛下のお住まいも80人の職員を受け入れられるところにするとことにしなくてはならず、また、上皇ご夫妻にとってかつて住み慣れた東宮御所がよかろうということになって、東宮御所を仙洞御所とすることになった。
また、現在でも皇宮警察の警備は、両陛下についで厚い体制になっているのだが、現実の危険としては皇嗣家がいちばん危ないのだから変則的な話になっている。
そして、皇嗣殿下は従来の皇太子殿下と同じ格式と仕事をされるのだから、東宮御所と同規模と質の御所が必要になった。

秋篠宮家 宮内庁HPより
ときどき間違える人がいるが、皇太子は空位ではない。それは、エリザベス女王が在位のときは、国王は空位だったというようなものだ。国王が女だから女王というだけだからそれはおかしい。
同様に皇太子というのは、皇嗣がそのときの天皇陛下の子どもであるときに使われる称号に過ぎない。現在の秋篠宮殿下の立場を、弟でも皇太子でいいでないかとか、皇太弟だとかいう説もあったが、結局、皇嗣殿下と呼ぶことにしたが、皇太子より格下と言うことでない。

秋篠宮文仁親王 宮内庁HPより
むしろ、天皇陛下と同世代だから、皇太子が天皇見習いという性格であるのに対して、天皇陛下の代理というような色彩もある。
そして、本来なら、まったく新しい皇嗣御所を建設するべきなのであろうが、節約して従来の秋篠宮邸(元秩父宮妃殿下の邸宅)を大改修して使うことになった。
したがって、本来なら退位ということで新たに生じるべきだったは、小規模な仙洞御所をどこかの施設を改修して整備するか、新しい皇嗣御所の建設費用であったがの、秋篠宮邸の大改修になったというだけで、非常な節約の結果なのである。
しかも、本来なら、眞子様、佳子様の部屋も大改修後の秋篠宮邸につくるべきところを、建設中の仮設御所のままでいいと遠慮されただけである。本来なら、お二人の部屋の建設費は相当な金額になるのを節約したのを、『別居費用』などというのは誹謗中傷いがいのなんでもない。
どうして早く公表しなかったのかといえば、そもそも、同じ敷地のなかで誰がどの部屋に住むかなど普通は公表しない。それが表に出たから後追い的に説明しただけで批判するべきような問題であるまい。
また、秋篠宮の新邸は節約の結果、大広間がないというひどいことになっている。こういうことは、皇室外交にも差し障りがあるので、節約すべきことでないと思う。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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