次に、下図は、英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)がEnhanced Levelized Costを用いて算出した電源ごとのLCOEを算出した図である。横軸に、ガス火力、CCS付ガス火力、陸上風力、事業用太陽光、洋上風力、縦軸には発電コスト(£/MWh)が示されている。グレー色の棒グラフが従来のLCOE(単純LCOE)、青い四角は、全体コストを表している。

出典:BEIS、Electricity Generation Costs 2022

洋上風力についてみれば、単純LCOEは、2025年から2035年の間で54から40£/MWhに減少しているが、総コストでみると各年で幅があるものの、2025年が67~85£/MWh、2035年は60~80£/MWhなどとなっている。

こうした推算は前提条件に左右されることが多く、海外の事例でもあるため、参考程度に見てみると、2035年の全体コストは、単純LCOEの1.5~2倍程度になることがわかる。大規模太陽光についても、同じような結果が得られている。この結果を2021年8月の経済産業省資料に適用すると、再エネ由来の発電は、火力発電よりかなり高コストになるということが推定される。

これから、素晴らしい自然環境を破壊して、山中や草原・大地、そして海洋に、太陽光パネルや風力発電設備を「無理やり設置するという行為」は、高コストであるだけでなく、安全配慮義務を無視した不法行為に当たると思われる。事業者、行政、地元利害関係者が絡んだ一連の活動は、「今だけ、金だけ、自分だけ」の愚の骨頂ではなかろうか。

 

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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