セミナー講師、目立ちたがり屋の社長には要注意
虚栄心という言葉が出ました。
経営者も創業の頃は、「家族を食わせるんだ」とか「世の中を変えるんだ」とか、理念にも燃え、経営を軌道に乗せるため必死です。他人の評価なんか関係ない。ところが、経営が上手くいき、結果が出てくると周りから自然に評価されるようになります。
露骨に言えば、「成功者」としてチヤホヤされるようになるわけですね。チヤホヤされたことのない経営者が、チヤホヤされるようになるとどうなるかというと、調子に乗り始めます。非モテ男子・非モテ女子がモテ始めるようなものです。そこで上手いタイミングでやってきたりするのが、マスコミ取材やセミナー講師の依頼です。
メディアに乗ると、周りの評価がガラッと変わるんです。称賛の雨あられ。これが気持ちよくないはずがありません。そしてセミナー講師。多くの経営者や起業家が、「先生、先生」って慕ってくるんです。これも気持ちよくないはずがありません。
これに気を良くした経営者は、もっと目立ちたくなります。マスコミ関係者とのつながりを増やしていったり、プレスリリースを頻繁に出すようになったり。もちろん、PR自体はいいことなのですが、それが売上に直結しているのかどうかが肝要です。
そしてセミナー講師。一度やってしまうと辞められないっていうくらい、慣れてない経営者は気持ちがいい。セミナー講師の仕事が終われば、講師を囲んでの懇親会。またそこで称賛の嵐。
家ではついでもらえないお酒も、ここでは率先して「先生、先生」とついでもらえます。まるで依存症のようです。となれば、今度はセミナー講師の仕事を率先して受けようとします。講師派遣サイトに登録してみたり、あるいはスーツを新調してみたり。こうなってくると、本業よりも楽しくて仕方がありません。
だってみんなチヤホヤしてくれるんですから。本業そっちのけで、セミナー講師業に手を出す経営者は、自分の虚栄心を制御できていません。そうなれば、講師業だけでなくほかのお金の使い方も気になってしまいますね。
なお、あくまで本業である事業をベースに、時々依頼を受ける程度であれば、大きな問題はないといえます。それから、私のようなコンサルタントなどセミナー講師を主たる事業にしている人は、セミナー開催数が多いからといって、危険なシグナルというわけではないのは、一応伝えておきますね。
■
横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 WORKtheMAGICON行政書士法人代表 特定行政書士 1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。 会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚
「会社を潰してしまう社長は、アートが好き」は本当か?(横須賀 輝尚 経営者) ChatGPT(GPT-4)は、弁護士や税理士など士業・専門家の相談業務を奪うのか?(横須賀 輝尚 経営者) コロナ禍で露呈した「使える士業」と「使えない士業」の決定的な違い(横須賀 輝尚 経営者) コロナ5類移行で外国人労働者の争奪戦が始まる(小島 健太郎 行政書士) ママ社労士が教える、育休明けからスムーズに職場復帰する方法。(桐生 由紀 社会保険労務士) 過去最高の税収68兆円より社会保険料が多い理由。(中嶋 よしふみ FP)
編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年9月21日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?