(前回:台湾で沖縄を考える(前編))
ここで別の「沖縄の状況」に目を転じたい。昨年4月9日の「読売」は「【基礎からわかる】国の沖縄振興策は?」との記事で、72年5月の復帰から22年度までの沖縄振興予算が合計13.8兆円に上ると報じた。玉城県政下の22年度当初予算では2684億円と10年ぶりに3000億円を下回ったものの、この50年間の年間平均は約2760億円だ。
エルドリッジ氏も「国から沖縄に、3000億円にも及ぶ振興費が支払われていることに、激甚な反対意見を出す人は多くない」と書き、それは県外の人々の中に「米軍基地の集中」「沖縄戦での多大な犠牲」「遅れた本土復帰」といった「意識を抱いている人々が多い」からこそとし、本人も海兵隊次長に就く09年までは「沖縄がかわいそう」「もっと沖縄の声を聞くべきだ」という認識だったことを明かしている。
政府は令和4年5月の「沖縄振興基本方針」で、「沖縄振興の意義」として「戦後四半世紀余り我が国の施政権の外にあったこと」「広大な海域に多数の離島が散在し他の都道府県から遠隔にあること」「我が国における米軍専用施設・区域が集中していること」など「様々な特殊事情を有している」ことを挙げている。この種の補償に異議を唱える国民は居まい。
データは少々古いが2010年度の都道府県別の歳入・歳出ランキングを見ると、ほぼ同じ人口140万人前後の沖縄県と愛媛県が31位と32位に並ぶが、歳入の内訳がかなり異なっている。
(単位:百万円)
歳入 歳出 順位 都道府県 総額 地方税 地方交付金等 国庫支出金 地方債 総額 10万人当り 31 沖縄県 647,317 101,296 220,865 177,016 76,733 632,157 46,469 32 愛媛県 630,190 132,132 191,365 87,258 101,339 618,357 44,038国庫支出金は国から使途を指定されるが、地方間の格差是正を目的とする地方交付金は使途の制約がない。上表の沖縄振興予算は近年では少ない2298億円だが、沖縄は「阻害」も「ないがしろ」にもされていないと判る。沖縄に比べて国の支援が少ない愛媛が、税収や地方債でそれを補い、県民一人当りの歳出額を捻出している様子も垣間見える。

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