マーケットプレイス・サービスは、サービスを購入するセラーに「確立された米国のオンライン顧客ベースへのアクセス」をはじめとした「独自の一連のサービス」を提供するもので、オンライン・スーパーストアと同様の参入障壁を有し、アマゾンは同市場の66%以上を獲得していると説明している。

違反行為の柱に挙げた「排他的な反値下げ行為」に関して、アマゾンには、他のストアで自社よりも安く売っているセラーがカートボックスに表示されないようにしたり、より重要なセラー(Amazonブランド登録者)に対してマーケットプレイスからのアカウント削除などの強力な罰則を伴う契約上のしばりを設けるなど、さまざまな戦術を用いているとした。同社には、ネットの価格を常に巡回する価格監視チームがあるという。アマゾンでの購入の大半はカートボックスを通じて行われており、多くのセラーにとってカートボックスは「生存の脅威」と強調した。

訴状に示されたカートボックスの例

また、アマゾンはセラーに値段を下げさせるだけではなく、手数料を年々上げてきた点に言及。値上げを迫られたセラーは、他サイトでも同様の価格にしなければならず、結果として「買い物客はアマゾン以外の場所で買う場合でも、人為的に高い価格に直面することになる」と指摘した。「総合すると、アマゾンの反値引き行為は、両市場の競争を阻害し、競合他社がスケールすることを否定し、セラーに損害を与え、買い物客から低い価格を奪うことによって、アマゾンの独占を維持するのに役立っている」と主張した。

これに加えて、アマゾンは、FTCが「ファーストパーティ反値下げ戦略」とよぶところの自社販売製品に関するプログラムによっても、セラーおよび他サイトでの値下げ販売を抑制していると指摘した。

「フルフィルメントサービス(FBA)の使用の強制」について、アマゾンの実質的な顧客基盤(プライム)へ完全にアクセスするための前提条件になっていると説明。プライム資格はセラーにとってカートボックス獲得のために重要で、資格を放棄したセラーは事実上、アマゾンのストアフロントから姿が消えると述べた。

FBAはアマゾン以外の注文にも対応しているが、アマゾンの縛りがなければ、より簡単にフルフィルメントが可能な独立した事業者を好むセラーが多いとした上で、「セラーに複数のオンライン・スーパーストアとマーケットプレイスで同じ商品を高く販売させることで、アマゾンはライバル企業が成長し、勢いを獲得し、十分な買い物客を集めてスケールし、有意義に競争する能力を制限している」と主張した。

これらの反競争的な戦術が合わさることで全体的な排除効果が増幅され、アマゾンは「両方の市場を通じた独占力をさらに強化」していると主張した。

訴状では、違法行為の継続を禁止するとともに、再発防止に向けた「構造的救済」を求めた。具体的に示されていないものの、CNBCは構造的救済には、事業の解体や売却などを指す傾向があると伝えている。

アマゾンの2022年の売り上げに占める独立セラーの割合は60%を超えた。非営利団体「Institute for Local Self Reliance」によると、2023年上半期、同社が国内セラーの売上から徴収した手数料は45%に達した。2014年の19%から大幅に増大した。