もしかして、それは「思い込み」?

相談者:でも、声が低くて、トーンが低い、冷たいとなると、明るく・面白くしようとくだけた話し方をしてもダメなんじゃないかと不安です。

松下:面接でもよくあるんですけど「私って暗い印象ですよね」「私って〇〇なんです」とネガティブなことをいう人がいらっしゃるんです。「誰に言われたの?」とたずねると「誰にも言われてない」。実はご自身の思い込みだったということが多いんです。誰に冷たい印象があると言われましたか?

相談者:職場で「僕の話し方ってテンション低く聞こえますか?」とたずねたら、否定されませんでした。

松下:それは、YouTubeで見せたい明るい姿・印象と混ぜちゃダメですね。職場で「僕って暗いですか?」って質問している時点で暗いですよ(笑)。

相談者:そうですね(笑)。ちょっと確認したかったんです。

松下:「僕のYouTube見たことありますか?どんな印象ですか?」って聞いたほうが良いですね(笑)。おそらく職場での印象とは違うはずですよ。

相談者:職場とは確かに全然違いますね……。

松下:ご心配されずとも、ニュース配信なら、その声は活かせると思いますよ。

配信動画を観てのアドバイスも

相談者:実際に配信したショート動画を観て、ご意見をいただけますか?

相談者:どうでしょう? テンション、低いですか?

松下:暗い印象を与えているんではないか、と気にしていらっしゃるんですよね?

相談者:はい。

松下:まず、服装。人は「パッと見た」印象が残ります。暗い色の服を着ていると、暗い印象につながります。背景も落ち着いていて、明るい色がないですね。この動画を見る人は話し方を聴く前に「落ち着いている、トーンが低い」と最初に認識します。

それから、バックに流れている音楽が、声よりも目立つボリュームなのが気になりました。

相談者:なるほど……!

松下:話し方は、声を張りましょう。落ち着いて話していらっしゃる。それは悪いことではありませんが、明るい印象を求めるのなら、もっと声を張るといいですね。

話し方とその内容だけで印象付けることはとても難しいんです。全てのものを味方にしましょう。ありとあらゆるものを利用して、自分の想いを伝える方法を考えてみると良いですね。

相談者:ありがとうございました!

松下公子さんプロフィール

松下公子 (まつした・きみこ)

STORYアナウンススクール代表/株式会社STORY 代表取締役

1973年茨城県鹿嶋市生まれ。

アナウンサーを目指したのは、大学3年時に彼氏に振られたことがきっかけ。みんなに愛される女子アナになって見返したいと思った。しかし、第一印象が怖い、近づきづらいという見た目コンプレックス、さらに、コネなし、2流女子大出身、茨城なまりと4重苦に苦しむ。パッと見の印象ではなく、自分のことをわかって欲しいという思いから、アナウンサー受験では自分の経験と思いを熱く語る。その結果、25歳フリーターでアナウンサーに内定。テレビラジオ4局のステップアップを果たす。

その後、共感で選ばれるプレゼン手法「共感ストーリー」としてメソッド化。代表であるSTORYアナウンススクールでは、認定講師とともに個別指導で共感ストーリーメソッドを使った志望動機、自己PRを一緒に作成。面接における伝え方の指導も行い、NHKキャスターや地方民放局アナウンサーの内定に導いている。現在は一般企業の転職など選ばれる人になるサポートや講演活動を行っている。

著書に『「たった1人」に選ばれる話し方』『転職は話し方が9割』(ともにstandards)がある。

共感ストーリーは株式会社STORYの登録商標です。