「春夏冬中」は、営業中であることを意味する言葉です。
ぱっと見、その読み方としては「しゅんかとうちゅう」や「はるなつふゆなか」が頭をよぎります。

しかし、実際には「あきないちゅう」と読むのです。
その読み方にはちょっとトンチを利かせる必要があります。

「春夏冬中」の読み方とその理由

「春夏冬中」で営業中を意味するとはどういうこと?トンチの効いた読み方を解説!!
(画像=『FUNDO』より 引用)

まずは「春夏冬中」の読み方と、どのような理由でその読みになるのか。
その点について見ていきましょう!

「春夏冬中」の読み方

「春夏冬中」は、「しゅんかとうちゅう」とも「はるなつふゆなか」とも読むことはありません。
では、どう読むのでしょうか?

この春夏冬中、その読み方は「あきないちゅう」となります。
そして、その意味は「商い中」です。

「春夏冬中」が営業中となる理由

では、なぜ春夏冬中と書いて商い中、つまり営業中という意味になるのでしょうか。
これは、四季のうち春と夏と冬はあるのに、秋だけがないためです。
まさにトンチともいえるのですが、春夏冬中という漢字表記の中には同じく季節を意味する「秋」だけがありませんよね。

そこから「秋がない⇒秋ない⇒商い」という解釈がされました。
そして、後ろに「中」が付いているので「商い中」、つまり営業中を意味する表現として用いられるようになったのです。

トンチの効いた読み方「判じ物」

「春夏冬中」で営業中を意味するとはどういうこと?トンチの効いた読み方を解説!!
(画像=『FUNDO』より 引用)

「春夏冬」のように、トンチを利かせたものの読ませ方をするものを「判じ物」と言います。

「判じ物」とは

判じ物とは、文字や絵画にある意味を隠しておき、それを当てさせるようにした謎解きのことを指していました。
文字のものは「字謎」と呼ばれることもある他、絵画のものは「絵解き」という呼ばれ方もしていました。

そこから転じて、トンチの効いた読み方をする物事を判じ物と呼ぶようになりました。

今でいうところの、クイズのようなものですね。
記号や目印の組み合わせなどから、その法則を推測して楽しむという性質のものを指すことが多いとされています。

日本では平安時代からこのような遊びがあったとされます。
それが江戸時代からは浮世絵などの登場によってより流行が盛んになったとされています。

ヨーロッパ版判じ物「レブス」

判じ物は何も日本だけのものではありません。
ヨーロッパ社会にも判じ物と同じようなものがあります。

この西洋版判じ物とでもいうものは「レブス」と呼ばれています。
言葉やイラストなどの組み合わせで解かせる一種のパズルです。

このレブス、その歴史は15世紀ごろまでさかのぼれるとされます。
そして1582年には、フランスでレブスを集めた本が刊行されています。

日本だけではなくヨーロッパでも、言葉遊びや絵遊びによる謎解きを好んでいたということがわかりますね!