日本は規制の法制化に時間がかかる上に強力な規制を打ち出さないので外国人にとっては天国だし、不動産デベロッパーももちろんもろ手を挙げての賛成となり、結局、一般庶民が買えない不動産価格が作り出されるのです。ロンドンやニューヨークのように地元の一般庶民は遠方から電車で通勤になります。拡大バンクーバー圏ですら街がどんどん拡大し、電車の路線も遠くに伸ばさざるを得なくなります。一種のバブルですが、都市経済がそれで好循環を生んでいることも確かで一概にバブルつぶしというわけにもいかないのです。

もう一つ、建設コストです。東京駅のそばで超大手2社が請け負っていた高層ビルの工事現場で鉄骨を落とすという事故がありました。普通は落ちないのですが、それを落としたということは現場の管理が甘かった人為的ミスでしょう。なぜこうなるか、といえば建設従事者が足りなくなっているのです。ピークの97年の685万人から現在はその3割減、そして少子化を考えると今後、建設作業員は外国人に頼らざるを得なくなります。一方、外国で建設業と接してきた私が断言できるのは外国の品質は恐ろしく悪い点です。特に水回りと仕上げは酷く、日本の戸建て住宅など今後建築費は爆上げになると予想しています。

不動産は需給もありますが、供給側の能力とコストも重要なのです。

一週間ほど前の報道ですが、カナダ政府の調査によると2030年までに今の住宅供給ペースだと350万戸足りなくなると。理由は年間50万人水準の移民受け入れをしているからです。不足分が7年で350万戸、つまり年50万戸の話です。カナダの年間の住宅供給数は28万戸程度なので全く無謀な話なのです。よって新築の物件は天井知らずの価格になり、出来上がってもほぼ確実に水道管からの水漏れが起きる悪循環。住宅ローンの金利が7%でも買い手が途絶えないのは「一生、買えなくなる」という焦りから「糞(ばば)でもつかむ」のです。

東京だって1億3000万円です。3000万円だって高いと思う庶民にとって1億円がその上に乗っかっているなんてありえないレベルなのです。それでも引く手あまたなのはエンドユーザーではない人が買っていることが肝でしょう。日本政府がいつ、この問題に気がつき、規制を始めるか次第ですが、当面は不動産は上がるとみています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年9月21日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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