不動産は買いか、と言われても場所や条件にもよります。不動産は世の中に一つとして同じものが存在しない固定資産であり、その特徴故に値が上がることもあるし、見向きもされないこともあります。

例えば自宅のマンションを売るにしても同じマンションの同じ階の似た間取りも同時に売り出されていたとすればどちらに先に買い手がつくかは割とわかりやすいものです。まず、陽当たりなどの物理的条件が変わらず、価格も同じだとすれば最後は内装です。どれだけ綺麗か、そして前の住民が丁寧に使っていたかが大事になります。水回りなどを適度にアップグレードしているかも重要です。

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ただ、これらは個別の不動産の話で、私は不動産屋ではないので物件を高く売る方法の話はしません。

国交省が7月1日時点での基準地価を発表しました。全国平均で住宅地が0.7%、商業地が1.5%上昇、三大都市圏で見ると東京が3.1%、名古屋が2.6%、大阪が1.8%と「東高西低」で特に大阪の住宅地が冴えないのが気になります。地方も全国平均で見るとプラスに転じていますが、個別で見るとまだら模様。どこでも上がっているわけではなく、県庁所在地や観光地、工場誘致があるところなど需要があることが前提になっています。

では不動産は上がり続けるのか、と言われると指標的な観点で見れば上がるとみています。理由はいくつかあります。①日本経済が比較的好転しており、世代交代もあり「失われた30年」からの脱却がすすむ ②外国人が投資目的で食指を伸ばしている ③株価上昇と不動産上昇はリンクするのが定石 ④建設コストが今後、驚異的に上がる ⑤海外の不動産価格との比較で今の円安水準だと相当割安 ⑥日本の建築物はクオリティが高く安心の資産となる ⑦高いと言っても諸外国に比べればただのような住宅ローン金利、がパッと思いつくところです。

23年1-6月の23区の新築マンションの平均価格は1億3千万円。感覚的には最安値の頃から2倍になっています。誰が買うのか、といえば個人事業主、ダブルインカム層、リタイア層の住み替え、海外からの投資ですが、需要を引き上げているのは海外勢だとみています。バンクーバーが一時狂乱の不動産価格となったのも海外勢の買いが理由でした。では海外の人は何故購入するのか、といえば値上がり期待と地政学的な「保険」目的です。

一方、多くの国では非居住者による不動産取引には規制や制約があります。当地でも市レベル、州レベル、連邦レベルそれぞれでルールが設定されており、例えば投資家が持つ物件を空き家で放置すると極めて高いペナルティを毎年払うことになります。これは高くなりすぎた不動産価格を冷やす政策的理由なのですが、それらの不動産投資マネーが規制を嫌い、行き場を失い、日本に目をつけたとみています。