独週刊誌シュピーゲルのAfD問題の専門記者アン・カトリ―ン・ミュラー氏は19日、オーストリア国営放送(ORF)とのインタビューに応じ、「AfDは外国人・少数民族への排斥などその政治信条は極右的だ。同党を支持する国民の票は単に現政権への抗議票ではない」と指摘し、警戒している。
南ドイツ新聞が「AfDを解体すべきだ」と提言していることに対して、ミュラー氏は、「民主的なプロセスで選出されている限り、その政治的活動を禁止することは難しい。国が政党助成金という形で支援することを先ず中止すべきだ」と述べ、「禁止」の前に「政党助成金のストップ」を提示していた。
ちなみに。ドイツの評論家ミハエル・フリードマン氏はORFの別のニュース番組で、「少数派をスケープゴートにして有権者の支持を集めるAfD、FPOは人権を無視している。民主的プロセスで躍進してきたとしても、両党を民主的政党とはいえない」と指摘している。
なお、AfDのワイデル党首は19日夜、FPOの党アカデミーで講演し、ショルツ3党連立政権の無策を厳しく批判し、観衆からスタンディング・オベーションを受けていた。
最後に、そのワイデル党首について少し紹介したい話がある。彼女は同性愛者で知られている。パートナーはドイツ人ではなく、スリランカ出身の外国人女性だ。AfDはこれまで同性婚には反対し、外国人排斥だ。ワイデル党首の生き方は、AfDの政治プログラムからみれば180度異なっている。その彼女が昨年6月以後、AfDの共同党首を務めているのだ。この矛盾をAfDはどのように止揚しているのだろうか。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年9月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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