「秒」の意味で用いる英語のsecondには、「2番目」という意味もあります。
2番と秒、この関係は単語だけを見ても分かりませんが、背景にある古代ギリシアにおける時間の概念が関係しているのだとか。
そこでここでは、英語のsecondが2番目だけでなく、秒を意味するようになった理由について解説します。
また、普段の生活でも役立つ「秒」に関する豆知識もご紹介します。
目次
secondに「秒」の意味がある理由は「秒」の成り立ちにあった
なぜ時間は60進法が使われているの?
secondに「秒」の意味がある理由は「秒」の成り立ちにあった

英単語のsecondには、「2番目の」という意味があります。
そのsecondにどういったいきさつで「秒」という意味が加わったのかを見ていきましょう。
「分」を意味する「minute」の意味
「秒」という概念は、「分」から来ています。
そのため、秒を指すsecondを知るためには、分を指す「minute」のことを知ることが必要となってきます。
そのminuteとは、ラテン語で「1番目の小さい部分」を意味する言葉です。
「秒」の概念は「分」の後にできた
時間の概念は、ギリシア・ローマ時代に生まれた時間の最小単位「1時間(1hour)」が軸にあります。
それが文明が進歩したことによって、より小さい時間の単位が必要となりました。
こうして生まれたのが「分」です。
この新しく生まれた時間の概念には、「1番目の小さい部分」を意味する「pars minuta prima(pasrs=部分、minuta=小さい、prima=最初の)」の「minuta」が抜き出されて使われるようになりました。
これが、分を示す英単語「minute」の起源とされます。
その後、さらに文明が進んだことによって、分よりも小さい単位が必要になってきました。
そこで、人々は分をさらに60分割して「秒」を生み出します。
それが2番目の小さい部分という意味の「pars minuta secunda」から、secundが秒の意味で用いられるようになりました。
これが英単語「second」になったのです。
「分」の後に「秒」の概念が生まれたので、秒の方が小さい単位ながら2番目の意味の「second」が当てられたというわけですね。
なぜ時間は60進法が使われているの?

私たちの身の回りのものの多くは、10進法が採用されています。
しかし、時間だけは古くから60進法が用いられています。
そのため、時間を計算するとき面倒だな~と思われたことがある人も多いと思います。
ではなぜ、時間に関しては60進法が採用されているのでしょうか。
古代ギリシア人が使っていたから
時間に60進法が用いられている理由。
それは、古代ギリシア人が使っていたからです。
ここまで解説してきたように、「分」や「秒」という概念は古代ギリシアで生み出されました。
その時代に60進法が採用されたので、今日に至るまで60進法を用いるのがスタンダードとなっています。
古代ギリシア人が60進法を計算に使っていた理由
では古代ギリシアにおいていつ頃、なぜ60進法が採用されたのでしょうか。
その始まりは、紀元前276年〜194年ごろとされています。
天文学者エラトステネスは、地理学における「緯度」を決めるために円を60分割しました。
これが、60進法の始まりとされています。
その1世紀後、ギリシャ人天文学者ヒッパルコスによって地球全体を経線と緯線で360分割するという方法が考案されました。
この方法をもとに地球が「経線」で24分割され、そこから1日が24時間という数値になったとされています。
さらに時代が進んだ西暦150年ごろ、クラウディオス・プトレマイオスが360分割された経線と緯線をさらに60分割しました。
これにより「1時間=60分」という概念が誕生しました。
60進法が採用されたのは、60という数字には約数が多く、計算や分割がしやすかったためとされています。
実際、2~6の最小公倍数であり、10・12・15・20・30で割り切ることができます。