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シンプルだが重厚、虚飾を排した斬新なデザインでヒット!
高級サルーンでありながら、ターボパワーで豪快な加速!
シンプルだが重厚、虚飾を排した斬新なデザインでヒット!
Y31セド/グロがベースで、一応は車名も「セドリックシーマ/グロリアシーマ」として登場した初代シーマですが、そのデザインは従来のセド/グロをただ大きくしたのではなく、全く新しいもの、しかも従来の国産高級セダンの常識を覆すものでした。
すなわち、確かに重厚で威厳のあるフロントグリルは備えるものの、低いボンネットで薄いフロントマスクはまるでスポーツカーのようであり、テールデザインも過剰な演出、あるいは「虚飾」と言えるものは一切なく、サイドの造形も含め至ってシンプル。
角を落とした微妙な曲線を組み合わせたデザインは背の高いグラマラスな美女を思わせ、ひたすら威圧して上から見下ろす経営者のような冷たい印象はなく、情熱的、ラテン系といった言葉が似合いそうです。
必然的に、このようなクルマに乗るユーザー層はダーティな人種…という印象で需要は限られると思いきや、これが大ヒット!
昔ながらの国産高級乗用車にユーザーは飽き飽きしていた…というよりは、バブルの熱狂で踊り狂っていた当時の日本にふさわしいのが、こういうクルマだった、ということなのでしょう。
高級サルーンでありながら、ターボパワーで豪快な加速!
さらにシーマには、レパード(2代目F31系)のために開発されていた、3リッターV6DOHCターボエンジン「VG30DET」(255馬力/35.0kg・m)を搭載する上級グレードがあり、これが「シーマ現象」とも言われた人気の過熱を決定づけました。
スルスルと走って快適な高級サルーン…と思わせて、アクセルを踏み込めばテールを下げてスポーツカー顔負けの豪快な加速に移るシーマのターボ車は、それまでトヨタのハイソカー軍団に叩きのめされてきた日産が、一矢を報いるのに十分なインパクトがあったのです。
当時の自動車誌のみならず、一般メディアすらも「シーマ現象」と呼んでシーマを褒め称え、日本に新たな時代の到来を告げるとともに、慌てたトヨタがセルシオ用V8エンジン(1UZ-FE)をクラウンへ先行搭載するキッカケまで作りました。
社会現象にすらなった初代シーマでしたが、1991年にモデルチェンジするとなぜか「大きいセド/グロ」になってしまい、ターボエンジンや追加されたV8エンジンはともかく、外観上の新鮮味はすっかり失われた保守的なものになってしまいます。
それゆえ初代シーマは中古車で、特にVIPカー系のユーザーには初代セルシオとともに息の長い人気を誇り、筆者が昔勤めていた会社の先輩も、後席に「E・YAZAWA」の巨大なタオルを載せた初代シーマに、白いスーツとサングラス姿で乗るのが趣味でした。
要するに「カッコよくビシっと決めたい人には男女問わず向いているクルマ」でしたが、日産がこの路線で歴代シーマを育てていれば、初代エルグランドとともに日産のイメージに大きなプラスになったのではと思うと、惜しいことをしたと思います。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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