実際にWi-Fi 6Eにはどんなメリットがあるの?
Wi-Fi 6とWi-Fi 6Eはどちらも理論上の最大通信速度は9.6Gbpsですが、Wi-Fi 6Eにはいったいどんなメリットがあるのでしょうか?
そもそも、Wi-Fiデバイスは年々増加しており、チャンネルが重複してしまうことが増えてきました。電波が混線すれば、Wi-Fiの実行速度は遅くなってしまうのです。
たとえば、古くから使われている2.4GHz帯は、Bluetoothや電子レンジなどの家電製品にも使われていますので、Wi-Fiが途切れることがよくあります。
また、2.4Ghz帯は14チャンネルありますが、重複しないのは実質3〜4しかないので、マンションでは隣の部屋とチャンネルが混線して速度低下を招く場合もあります。
一方、5GHz帯では独立したチャンネルが20ほどありますので、マンションでの混線は避けやすくなっています。
ところが、5GHz帯は気象レーダーや船舶・航空レーダーでも使われているため、これらの電波をWi-Fiルーターが検出すると「DFS」という機能が働いて別のチャンネルに切り替わるため、1分ほど途切れてしまうことがあります。
そのような状況のなか、Wi-Fi 6Eは2.4GHz帯と5GHz帯のほかに「6GHz帯」にも対応しているため、利用できる周波数帯域が広くなり、チャンネル数も多いのが特徴です。
チャンネル数が増えれば、当然、混雑を避けられますし、電波の干渉も起きにくく安定するため、Wi-Fiの実行速度は理論値に近いものになると言われています。
このように、Wi-Fi 6とWi-Fi 6Eは、どちらも同じ「IEEE802.11ax」規格であり理論値は最大9.6Gbpsですが、Wi-Fi 6Eでは6GHz帯を使えるため混線などが起きにくく安定しており、実行速度はWi-Fi 6よりも速くなることがお分かりいただけたでしょう。
なお、現在Wi-Fi 6対応のルーターは数千円と格安で購入できますが、6GHz帯が使えるWi-Fi 6Eには対応していません。
もし、iPhone 15 Pro/15 Pro Maxを購入して、Wi-Fi 6Eの速度を体感したいなら、Wi-Fiルーターも6GHzを利用可能なWi-Fi 6E対応機種を購入しないと、本来の速度は出せないのでご注意ください。
まとめ
いかがでしょうか? Wi-Fi 6Eでは新たに6GHz帯が利用できるため、電波が混雑せずWi-Fi 6よりも実行速度が速くなると言われています。
Wi-Fi 6Eでは大容量のデータ通信もわずかな遅延で通信できるため、将来普及する8K動画やVR映像などでも、ストレスなく楽しむことができるのです。
なお、すでにWi-Fiは次世代の「Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)」規格の策定が進んでいます。
こちらも、6GHz帯が利用可能で最大46Gbpsという超高速通信の実現を目指しており、24年12月ごろに策定される予定ですので、次世代iPhoneで採用されるかどうかは分かりません。
※サムネイル画像(Image:IIIARKED / Shutterstock.com)
すずきあきら
編集・ライター。パソコン通信時代からネットワークに接しWi-Fiやインターネット、SNSなどに精通。30年に渡って、パソコンやスマホ関連のムック本や雑誌記事を手がけてきた大ベテラン。最近は格安SIMなどのケータイ料金やアプリ、通信費全般の記事を執筆することが多い。
文・オトナライフ/提供元・オトナライフ
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