■ スケーラブル・システム プラットフォーム(SSP)
近い将来には車両のベースには、共有する単一の基幹システムであるスケーラブル・システム プラットフォーム(SSP)に切り替える計画だ。
このプラットフォームは、さまざまな機能が統合されたエレクトリック&エレクトロニクス・アーキテクチャーを備えることになる。

それにより、すべてのブランドとセグメントをカバーし、4000万台以上の車両がSSPをベースに製造されることになるため、大規模な標準化とスケールメリットを生み出すことができる。
同時に、このインテリジェントなプラットフォーム・コンセプトは、各ブランドに必要な差別化を行ないながら、それぞれのセグメントのニーズに合わせて車両をテーラーメイドする柔軟性を備えている。
SSPは、現在のMEBと比較して投資および研究開発費用が約30%削減され、ほとんどのEVが、従来型エンジンを搭載した車両と比較して、同等の収益を達成できる見込みとなっている。
なお、グループ以外ではフォード社がMEBを採用することを決定しており、新たにインドのマヒンドラ社が自社モデルにMEBの重要コンポーネンツであるeドライブやバッテリーパックを採用する方向で協議が進められている。
■ バッテリー戦略
多くの競合他社とは異なり、フォルクスワーゲン・グループはバッテリーセルの開発と生産をグループ傘下のバッテリー製造会社「PowerCo(パワーコ)」でとりまとめ、グループのバリューチェーンとして組み込んでいる。
その目的は、電気自動車の生産における重要な専門知識や供給の円滑さをグループ内で確保するためだ。
バッテリーコストの低減も、e-モビリティ普及の必須条件で、「PowerCo」によって開発された統合一体型バッテリーパックはもちろん、標準化されたセル工場、そして電池セルのドライコーティング、コバルトとニッケルを使用しない低コストの電池セルなどの革新的テクノロジーにより、第一世代のMEBと比較してバッテリーのコストを最大50%削減できることになる。
これにより、e-モビリティはより幅広い層の人々にとって手頃な価格のEVを普及させる原動力になる。
■ ソフトウエア・ディファインド・ビークル
フォルクスワーゲン・グループは、将来のキーポイントとなるソフトウェアの専門知識を体系的に拡大している。目標は、ユーザーデジタル体験のリーダーとなり、世界中の顧客にデジタル化された世界を享受してもらうことだ。グループは、この分野で成功を収めるために、的を絞った開発、戦略的パートナーシップ、効率的なライセンスという、3つの要素に焦点を当てている。

新型アウディ「Q6 e-tron」のインテリアは、新しい「E3 1.2」ソフトウェアの機能を垣間見ることができる。
将来の「E3 2.0」ソフトウェア・アーキテクチャーの開発に向けて、ソフトウエア開発部門会社「CARIAD」はプロジェクト組織を合理化し、よりシンプルなプロセスと明確な責任体制により、開発プロセス全体を加速している。
この目的を達成するために、「Software Defined Vehicle Hub(SDV ハブ)」と呼ばれる組織が間もなく稼働を開始する予定だ。そこでは、「CARIAD」、フォルクスワーゲン、アウディの社員が協力して、車両ソフトウエアを共同開発していく。
この他にフォルクスワーゲン・グループは、モビリティサービス企業として、世界最大の自転車メーカーであるオランダのPonの子会社「バイク モビリティ サービス」に投資し、幅広い領域をカバーするリース、レンタル、ビジネス用の自転車サービスをグローバルに展開することを目指している。
また自動車では、「Europcar」と共同で新しいモビリティ・プラットフォームを構築している。このプラットフォームでは、時間単位のカーレンタルから数年間のリースまで、あらゆるモビリティのニーズをカバーする。さらに、電動スクーターや公共交通機関などの第3者によるサービスも、わずか数分の短い利用時間であっても、1つのアプリに統合することも目指している。
提供・AUTO PROVE
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