フォルクスワーゲン・グループは2023年9月4日、ミュンヘンで開催された「IAA モビリティ2023」で、オリバー・ブルーメCEOが電動化戦略を推進する重点項目であるアーキテクチャー、バッテリー&充電、ソフトウェア、モビリティという、グループの4つのテクノロジー プラットフォームの進展について説明した。

【IAA2023】フォルクスワーゲンがEVシフトへの切り札を切る。多くの分野で標準化とメガスケール化しハード&ソフトウェアで世界をリードする
(画像=プレス・カンファレンスで登壇したオリバー・ブルーメCEO、『AUTO PROVE』より引用)

■ 新EVプラットフォーム「MEB+」
フォルクスワーゲン・グループは、10のブランド全体にわたって、電動化の競争での優位性と大幅な規模拡大の可能性をもたらしているとしている。

2012年以降、成功を収めているモジュラー トランスバース ツールキット(MQB)を使用して、約4500万台の車両が生産された。グループは、モジュラー エレクトリック ドライブ マトリックス(MEB)により、プラットフォーム戦略を電動化時代に移行した最初のメーカーのひとつで、2020年以降、5つのグループ・ブランドによって、MEBプラットフォームを採用して110万台以上の電気自動車が出荷されている。

それは、持続可能なe-モビリティの急速な発展に対応するために、このプラットフォームを継続的に改善し、すべての分野でより優れたパフォーマンスと機能を実現しており、最大航続距離700kmを実現したフォルクスワーゲン「ID.7」などのニューモデルによって実証されている。

【IAA2023】フォルクスワーゲンがEVシフトへの切り札を切る。多くの分野で標準化とメガスケール化しハード&ソフトウェアで世界をリードする
(画像=2025年登場予定の大量販売を目指す低価格EV「ID.2all」、『AUTO PROVE』より引用)

2025年からは、航続距離と電費などの効率が約10%向上し、機能が強化されたMEB+プラットフォームが登場する。このプラットフォームは、電池セル+パッケージ一体型の技術を採用したグループ共通の新バッテリーセルを搭載し、0〜100km/h加速は5秒未満と、20分未満の急速充電時間を実現するものだ。

【IAA2023】フォルクスワーゲンがEVシフトへの切り札を切る。多くの分野で標準化とメガスケール化しハード&ソフトウェアで世界をリードする
(画像=低価格化を実現するMEB+プラットフォーム、『AUTO PROVE』より引用)

フォルクスワーゲン、シュコダ、クプラから発売されるエントリーモデルの価格が2万5000ユーロ以下という新しい電気自動車により、一段とEV化を加速させる計画だ。なおこれらのモデルがMEB+を採用する最初の車両となる。

このセグメントがいかに競争力があるかは、今回公開されたフォルクスワーゲン「ID. GTI Concept」により明らかになっている。

■ プレミアム プラットフォーム エレクトリック(PPE)
また2024年には、グループで2番目の電気自動車専用プラットフォーム「プレミアム プラットフォーム エレクトリック(PPE)」が投入される。

アウディとポルシェが共同開発したこのプラットフォームは、航続距離600kmを超えるパワフルで効率的な電動ドライブトレインと、800Vテクノロジーによる革新的なバッテリー、充電管理システムを備えている。

2024年に登場するアウディ「Q6 e-tron」は、ブランド初のPPEプラットフォーム採用モデルとなり、電動化における次の大きなステップになるモデルという位置付けだ。

【IAA2023】フォルクスワーゲンがEVシフトへの切り札を切る。多くの分野で標準化とメガスケール化しハード&ソフトウェアで世界をリードする
(画像=プレミアム・セグメント用のPPEプラットフォーム、『AUTO PROVE』より引用)

さらに、PPEモデルにはソフトウエア部門会社「CARIAD」が新開発したハイパフォーマンス・エレクトロニクス・アーキテクチャー(電子プラットフォーム)とソフトウェア・プラットフォームが搭載されており、これにより車両はユーザーに最適化されたデジタル・キャビンとして実現化される。顧客は、車両に統合されたアプリストアから、いくつかのお気に入りのアプリを車両に直接インストールして使用することができるのだ。

【IAA2023】フォルクスワーゲンがEVシフトへの切り札を切る。多くの分野で標準化とメガスケール化しハード&ソフトウェアで世界をリードする
(画像=アウディ Q6 e-tron プロトタイプ、『AUTO PROVE』より引用)

アウディ「Q6 e-tron」は、曲面デザインを採用した新しい独立タイプのMMIパノラマ・ディスプレイ、新しい拡張現実ヘッドアップ・ディスプレイ、パッセンジャー・ディスプレイを装備するブランド初のモデルとなる。