技術シンボルはどのように認知されるか

冒頭お伝えしたように技術シンボルに位置付けられたMX-30ロータリEVは、欧州と日本のみで販売される。北米や中国での販売は予定していないという。そして先行して発売された欧州では、新たなソリューションとしての認知があり、一般ユーザーへの浸透具合を見つめる必要がある。

というのは、欧州のプラグインハイブリッドはパラレル式が中心で、バッテリーが電欠した時はエンジンで走るというモデルしかない。マツダのロータリーEVは、電欠しないようにロータリーエンジンが稼働し、どんな条件になってもEV走行をするモデルなので、欧州で理解され、その特徴に魅力を感じるのか注目しているわけだ。

国内では日産のe-POWERが同様のシリーズ式に相当し、ご存じの人も多いと思うがPHEVではなくHEVという違いはある。したがってプラグインハイブリッドのシリーズ式は唯一のソリューションという言い方ができるわけだ。

マツダ ロータリー復活 新たなソリューションとして「MX-30 Rotary EV」デビュー
(画像=ヘッドレストにも専用のロゴが刻印されている、『AUTO PROVE』より引用)
マツダ ロータリー復活 新たなソリューションとして「MX-30 Rotary EV」デビュー
(画像=『AUTO PROVE』より引用)
マツダ ロータリー復活 新たなソリューションとして「MX-30 Rotary EV」デビュー
(画像=『AUTO PROVE』より引用)

マツダはロータリーEVのブランド化を目指し、他車種にも広げていきたいところだが、まずはこのMX-30ロータリーEVが欧州と日本でどのように認知され、歓迎されるのかを見極めてからの展開になるという。ちなみに欧州ではMX-30 RE-EVの名称になる。

アメリカであればボディサイズの大きいラージ商品群での展開が予想され、そうなるとバッテリー容量とモーターの出力も大きくする変更が必要になると思う。またマツダ2や3といったスモールハッチバックでは、バッテリー搭載位置の関係でキャビンが狭くなる可能性もあり、現実的には難しいのではないかと想像する。

つまり、CX-5、CX-30などのスモール商品群のSUVであれば比較的容易に搭載ができ、マルチソリューション戦略として少し選択肢を増やすことができるという落とし所になると予測する。

マツダ ロータリー復活 新たなソリューションとして「MX-30 Rotary EV」デビュー
(画像=キーの長さはローターの厚みとほぼ同じということだ、『AUTO PROVE』より引用)

繰り返しになるが、MX-30 Roatary EV は技術シンボルであり、マツダの新しいソリューションとして提供するパワーユニットになる。MX-30というコンパクトSUVからスタートしている理由も、技術シンボルのクルマに位置付けられているからだ。だから大ヒットを目指すわけではなく、マーケットの反応を見極める第一弾と見るべきだ。

またロータリーでのダイレクト駆動を期待する声もあるが、現時点ではその可能性はまったくない。あくまでも発電機としての仕様で開発されているため、駆動エンジンとした場合、エミッションを含めカーボンニュートラルな社会へのロードマップに載せることは難しいからだ。

マツダ ロータリー復活 新たなソリューションとして「MX-30 Rotary EV」デビュー
(画像=MX-30の個性が際立つ観音開きの「フリースタイルドア」、『AUTO PROVE』より引用)

この先、実際の試乗ができると思うが、果たしてロータリEVの乗り心地や静粛性、燃費、電費はどの程度になっているのか、気になるところであり、さらに一般ユーザーからの受け入れはどうなるか?注目したい。なお、発売は2023年11月に登場する予定だ。

諸元

マツダ ロータリー復活 新たなソリューションとして「MX-30 Rotary EV」デビュー
(画像=『AUTO PROVE』より引用)

価格

423万5,000円~491万7,000円

提供・AUTO PROVE

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