2023年9月6日に全世界に公開された新しいフラッグシップとなるであろう、SUVタイプのトヨタ センチュリー。
5mを余裕で超す5.2mという全長の半分以上が後席にあてられたデザインは、ひとめで後席重視のモデルであることを理解できます。
その後席は、どんな豪華装備でセレブをお迎えしてくれるのでしょうか?
目次
後席のゆとりを最優先した室内設計
荷室からの音をシャットアウト
後席のゆとりを最優先した室内設計

セダンのセンチュリーからホイールベースが140mm短縮されたにもかかわらず、SUVスタイルとしたことで広くなった後席は、シートを左右独立タイプのみとして乗員の快適性を高めています。

標準装備の本革シートは、ヒーター付き電動オットマン、シートヒーター、シートベンチレーションのほか、エアブラダーを内蔵。
エアブラダーとは空気袋のことで、それを膨張させることで乗車姿勢のまま背中から大腿部までを押圧してくれます。

サイドのドアおよびクォーターガラスのプライバシーガラスは、スイッチを入れると2枚の合わせガラスにサンドイッチされたフィルムがホワイト調に変化する調光機能付き。
外部からの視線をさえぎりながら、後席を和室のような落ち着いたプライベート空間へと変化させます。

また頭上には大開口の電動サンシェード付きパノラマルーフを配置して、開放感を高めるとともに、夜間は光の帯が室内を装飾するLEDカラーイルミネーションを装備しています。

シートの前後カップルディスタンスは1,220mm。
これはフロントシート利用時でも後席の乗員は足をつま先まで伸ばせるほか、フルリクライニング(最大77度)時には身長190cmの人が足を伸ばしてリラックスできるなど、セダンではなし得なかったおもてなしを可能としました。

左右前席のヘッドレスト背後には、多彩なマルチメディア環境に対応する11.6インチの大型ディスプレイを搭載するとともに、室内は18個のスピーカーで構成されるセンチュリープレミアムサウンドシステムを装備して、高画質かつ高音質の映像や音楽を楽しめます。

シートの調整およびオーディオ、エアコン、室内灯/読書灯、イルミネーションの操作は、中央のアームレスト先端にセットされた脱着式のマルチオペレーションパネルを使って行います。
またアームレストには大型テーブルのほか、スマートフォンスタンド、スマートフォンポケット、充電用USB端子(Type-C)、ヘッドフォンジャック、カップホルダー、、小物入れ、AC100V・1500Wアクセサリーコンセント/充電用USB端子/HDMI端子を備えた電源ボックス、冷蔵庫(メーカーオプション)などが装備されます。

レザー加工によって下層のアルミニウムをストライプ状に露出させた本杢パネルを使用したタワーコントロールは、前席と後席をセパレートするパーツ。
アナログ時計、空気清浄機能を持つナノイーX、Blu-rayディスクプレーヤーとSDカードスロットを装備します。
荷室からの音をシャットアウト

SUVやハッチバックなどの2ボックススタイルでは、後方の荷室と室内がひとつの空間になっていることからノイズの侵入が問題になります。
これまでショーファードリブンが空間効率に優れる2ボックスやワンボックス採用しなかった理由は、ここにあります。
それの問題を解決するため、今回のセンチュリーでは後席の後ろに隔壁(バルクヘッド)を設け、そのうえに合わせガラスをセットして侵入を防いでいます。

ラゲージルームセパレーターと 名付けられた装備は、室内のノイズ対策と同時にボディ剛性の強化や乗り心地の向上にも貢献しています。
もちろんエンジンノイズやロードノイズに対しては、遮音材と制振材を要所要所に配置。エンジンのこもり音などは、スピーカーから逆位相の音を発することで室内の静粛性を向上させるなど、徹底的な防音対策が施されます。

さらに後席乗員の美しい乗降所作を考え、リアシートの最適な配置をはじめ、乗員が足をあげることなく乗り降りできるフラットな吐き出しフロア、電動格納式のオートステップ、Bピラー部の大型アシストグリップ、最大75度の開度を可能にしたリアドアなど、細部に渡って煮詰められています。

面白いのは、後席のBピラーに靴べら置きが用意されていること。オプションで用意される手織りの緞通(絨毯)と同等の風合いと豪華さをもつ丹後緞通のフロアマットとあいまって、後席の乗員が靴を脱いでくつろぐ姿が想像できます。

荷室容量は340L(VDA法)で、ゴルフバックを3個収納することができます。開閉はバックドアのスイッチ、スマートキーのほか、運転席からも操作が可能です。
リアドアに傘を内蔵するロールス・ロイス カリナンに対し、センチュリーの後席には上質なマットと靴べらの装備。このあたりはお国柄を表しているようで面白いですね。