日本車初の快挙を成し遂げた・2代目ST185(1989年)

宿敵ランチアを撃破!元祖「WRC最強の国産4WDターボ」ことトヨタ セリカGT-FOUR【推し車】
セリカGT-FOURとしてはもっともバランスに優れ、ライバル台頭前の活躍でWRCダブルタイトルの快挙を成し遂げた2代目(画像=『MOBY』より 引用)

あくまで急場しのぎだった初代とは異なり、水冷インタークーラーやワイドボディで最初からWRC参戦を見越した「GT-FOUR RC」の開発が行われ、基本的にはまだ5ナンバーサイズに留まったボディもあって、もっともバランスに優れていた2代目GT-FOUR。

WRCには1990年から出場し、グループAで猛威を振るったランチア デルタ・インテグラーレと真っ向から対決できた最初の国産ラリーマシンとして「WRC日本車黄金時代」初期の栄光を担いました。

1993年にはユハ・カンクネンがドライバーズタイトル、そしてマニュファクチャラーズタイトルも獲得して、日本車では初のWRCダブルタイトルという快挙を成し遂げ、カストロールカラーのGT-FOURはゲームなどでもラリーの定番車種となります。

ただし基本的にはコロナ/カリーナクラスのスペシャリティクーペとして車格過剰、サイズも重量も過大という問題は常にありました。

1クラス格下の車両へ4WDターボシステムを詰め込んだ、スバル インプレッサWRXや三菱 ランサーエボリューションが台頭してくれば不利になるのは明らかで、「セリカGT-FOUR」としては初の快挙を成し遂げると同時に、最後の栄光を担ったモデルでもあります。

でかい、重い、走らない・3代目ST205(1993年)

宿敵ランチアを撃破!元祖「WRC最強の国産4WDターボ」ことトヨタ セリカGT-FOUR【推し車】
2015年のグッドウッド・フェスティバルで走る3代目ST205…だが、今のGAZOO Racing公式サイトのWRC関連コンテンツでも、ほとんど触れられることはない(画像=『MOBY』より 引用)

3代目セリカGT-FOURはそもそもベースのセリカが、バブル時代に開発されてブクブクと肥え太り、バブル崩壊とRVブームで用済みになったラグジュアリーな2ドアスペシャリディクーペという、困った存在。

丸目4灯ヘッドライトにヌメヌメした曲面デザインは、同年発売のホンダ インテグラ(3代目…タイプRが出る前の前期型)ほど不評ではなかったものの、WRCでの勝利を目指すGT-FOURとしてはもはやでかすぎ、重すぎで走りません。

それでもトヨタのWRC活動を担当したTTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)は努力し、この重いドン亀4WDターボを何とか走らせようと努力した末に、ターボチャージャーの出力を規制するリストリクターの規則違反が1995年に発覚。

悪いことは悪いのですが、これで何とかWRCに勝とうと思うには、「アウト寄りのグレー、何なら見つかればアウト」で勝負せねばならないうえに、それで勝てたわけでもないので、同年限りでWRCから撤退しました(そもそも1年出場停止処分)。

雪道に強いラグジュアリークーペとしては悪くないクルマでしたが、漫画「頭文字D」では噛ませ犬的な出番だけでしたし、筆者の知人もジムカーナの4WDターボクラスでランエボやインプレッサへ挑んだものの、「重戦車」で勝利するのは困難だったようです。

結局セリカ自体が重すぎデカすぎで次のT230系ではダウンサイジングされるとともに4WDターボは廃止、「GT-FOUR」の名はカルディナGT-FOUR(3代目・2002年)に受け継がれたものの、それも2007年をもって販売終了して後継車はなし。

WRCの方は新たにWRカーのカローラWRCを作って1997年から復帰、ソコソコの成績を残したものの、そもそもベースのカローラFX(E110系)自体が日本で売っていなかったため、カローラWRCの市販車版が売られる事もありません。

結局、トヨタWRCマシンの市販仕様(に近いクルマ)が再び販売されるのは、GRヤリスが発売される2020年を待たねばなりませんでした。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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