
パチンコホール業界最大手のマルハンが、店舗内のWi-Fiに接続してQRコードを読み込めばスマホやタブレットを使って無料で漫画4万冊・雑誌700冊が読めるサービスを開始。店内のポップには「遊戯“しながら”楽しもう!」と謳われており、パチンコをプレイしながら同時並行で漫画を読むことができるのかという疑問や、ついに大手ホールもパチンコ客のつなぎとめのため「なりふり構わない」施策に打って出たという声などさまざまな反応が寄せられ、話題を呼んでいる。
パチンコ業界をめぐる環境は厳しい。2022年のパチンコホールの売上高は2兆5562億円で、約10年前から半減(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」より)。同年のパチンコホール減少数は780店舗で、1年間で約1割が減少したという(全日遊連の集計より)。
「風営法施行規則によってパチスロ5号機から射幸性の低い6号機へ移行が進められたことや、競馬や競輪の馬券・車券が手軽にスマホで買えるようになったこと、ギャンブル性が高い課金制スマホゲームにユーザが流れたこと、そして大当たりする確率を高めた確変機への飽きが広まったことなど、パチンコユーザの減少には多くの要因が重なっている。このほか、スマホで気軽に株投資などができるようになり、パチンコやスロットにお金を投げるくらいなら堅実に投資にお金を回したほうがよいと考える人が増えているという指摘もある」(パチンコ業界関係者)
そんなパチンコ業界において、ホール最大手のマルハンの業績は好調だ。22年3月期の売上高は前期比15.0%増の1兆2709億5400万円、営業利益は同81.9%増の243億8900万円、当期純利益は同138.2%増の145億200万円と増収増益。従業員数は1万人を超え、毎年100人単位で新卒採用を行う、れっきとした「1兆円企業」の顔を持つ。
同社の経営の強みとなっているのが、非パチンコ事業だ。パチンコを中核事業に据えつつ、飲食施設や各種レジャー施設、温泉旅館、ゴルフ場なども経営し、ビルメンテナンス事業や金融事業にも進出。22年3月期のセグメント別利益をみてみると、パチンコ事業の約109億円に対し、金融事業は約84億円、その他が約43億円となっており、パチンコ産業の縮小を見据えて堅実に事業の多角化に励んでいる様子がうかがえる。