以前、私は自民を割るべきだ、と申し上げました。理由は才能ある議員がいても派閥の力学でその力を発揮できない仕組みがあり、あたかも年功序列的な人事制度と注目を集める人事の組み合わせとなり、機能しなくなっているのです。入閣を待つ自民の議員は70名いるとされます。それが一度の選挙で数人だけが引き上げられるならば待機組に光が当たる可能性は低くなります。しかもそれだけ人材がいればかなり強力な組閣できるだろうと思いきや、今回交代になった野村哲郎元農水大臣のような人事も生まれるのです。

個人的に異様だと思ったのが副大臣、政務官に指名された54名が全員男だったこと。これは一部のメディアが猛烈に叩いていますが、叩かれてもやむを得ないかもしれません。一応、世界に報じられる内容と写真だということを踏まえた上でなぜ全員男性だったのか、これが疑問なのです。首相は「チームとして選定を行った」と述べています。厳正に行ったとするならばリーダーとなる政治家に女性が育っていないことを首相自らが認めたことになります。

副大臣、政務官は大臣になるための登竜門的なポジション。もしもそこに女性がいないならば次の大臣候補には女性がいないということになります。が、岸田氏は今回は過去最高に並ぶ5人も女性を大臣に登用したと自慢していますが、それは実力ではなく、バイパスさせて体裁を整えたと言われても致し方ないのです。

日本がジェンダーギャップ指数で2023年は146カ国中125位に留まっている最大理由の一つが政治における男女平等の遅延です。日本は女性議員が増えたと言っても10%足らず。もちろん、日本の女性が欧米評価基準とはapple to appleにならないと考えていますが、それでも54人いてゼロというのはいかにも寂しい結果です。エッフェル塔の写真騒動に対して松川議員が胆力をもって対応せず、さっさと女性局を辞めてしまうなどの動きも個人的には寂しい限りです。

日本は政治が安定している国と評されています。ほぼ単一民族故になせる業とも言えますが、時代という流れは確実に変わっています。その中で岸田政権が表層の取り繕い的な政権運営をしていれば最大の支持層である保守層の地殻変化がいつ起きかねないとも限らない、そんな気がします。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年9月19日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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