更にいえば、健康保険については、現行の最低水準を引き下げて、民間の保険会社の提供する医療保険に代替させ、支払保険料に税制優遇措置を設ける方法もあり得るわけだ。そして、危険に応じた保険料の算定方式を導入すれば、健康管理を徹底すればするほど負担が軽減するから、総医療費の削減に対する利益誘因が生じるわけで、より優れた制度設計になるとも考えられる。

つまり、全ての国民を等しく扱うことは、公正公平のように見えても、自助努力する人も、しない人も、等しく扱うという悪平等であり得るのであって、別の見地から公正公平性をとらえて、国民の自主自律、自助努力を奨励するような制度設計にも充分な顧慮が払われなければならないのである。別のいい方をすれば、同じ権利を主張するにしても、医療を受ける権利という受動的なものと、自分の健康を自分で管理する権利という能動的なものとがあり得るわけだ。

森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC twitter:nmorimoto_HC facebook:森本 紀行

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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