① 困っている人、いいことやろうとしている人 ② いい人 ③ 真剣であること

組織に指示されている仕事も、もちろんそうですが、誰にもやれと指示されていないことも、そういう自然な気持ちに任せてやってきました。

その結果、色々なことができるようになっていったり、一緒にやってくれる人や助けてくれる仲間がどんどん増えていって、幸せな職業人生を送っていました。

独立してからは、こういう考え方というのは、無駄なこと、お金にならないことばかりしてしまいかねないので、一見すると経営のセオリーから外れているようにも感じていました。

心の真ん中にそういう気持ちを持ち続けながらも、売り上げのことを、(大して慣れていないから)必死に考える日々を過ごしてきました。

この、自分の本当の心と、必死に考えることの間のギャップが、自分を苦しめてしまったり、現実的でない不安にとらわれてしまったりということの正体だったと思います。

3年半経って気づいたのは、そうやってあまりお金にならないことでも、必死にやっていると、色んな人の助けを借りながらなのですが、できることがちゃんと蓄積していきます。

そして、このごろは、過去に少しやったのと似たような大きな仕事が来たり、別の大きなプロジェクトでその経験が活かされたりといったことが、どんどん増えてきました。

「そうか、ああやって目先で大したお金にならないことをやるというのは、お金をもらいながら訓練を受けたり、実証事業をやったりしているのと同じなんだな」と気づきました。

それが、ある程度分かってからは先が読めるようになり、自分の小さな成功事例と、クライアントやパートナーのやりたい抽象的なことを結びつけるアイディアもどんどん浮かぶようになりました。

そして、大事なことは、自分で目標や計画を決めないこと、やる内容も特に決めないことという結論に至りました。

なぜって?

先のことや自分の本当の価値なんて、自分では全部分からないからです。僕を理解してくれている周りの人の方がきっとよくわかっているんだと思います。

お金になろうがなるまいが、誰かが僕に頼んでくることというのは、大きさはともかく、少なくとも世の中にニーズがあることの証明であり、また大企業では売ってないし、その辺にも売ってないから千正組に相談が来るわけです。

それをやっていれば、自分たちしかできないようなことで実績が積めて、それが仕事になっていきます。

もしかしたら、これが一番近道のマーケティングなんじゃないかと思うようになりました。

そして、色々な依頼が来る中で、新しいタイプの仕事が増えていくので、自然と新規事業開発ができてしまいます(事業化するには、ちょっと知恵と仲間が必要ですが)。

そもそも、目標を決めてそれを達成するためにがんばるみたいな生き方をしたことがありません。何者になりたいわけでもないし、たくさん稼ぎたいわけでもないですし、人生を振り返っても受験も経験してないし、役所でも出世競争とか全く興味なかったです。

みんなのためになることなら、なんでもやりたい。

そんな風に思っていただけです。

「みんな」というのは、国民の皆さんはもちろんのこと、厚労省の仲間や他省庁や様々な団体、有識者、メディアの方など、自分を取り巻くスタークホルダー「みんな」です。

そして、それが経営として、とても良いことなんじゃないかと、最近思うに至りました。

自分の本当の心と会社を経営していくという実際にやってることが、ピタっと合ったんです。

そしたら、不安も何もなくなったし、とても幸せだし、楽しくてどんどん新しいことが広がるようになりました。

厚労省の頃の本来の自分に戻った感じがします。

これからも、みんなのために働いていこうと思います。

官僚の気持ちで会社経営したら、こうなったというお話なんですが、今後も会社経営の中でも気づいたことがあれば、書き留めておこうと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

株式会社千正組では、政策のつくり方を誰でも学べるような実践的な教科書を連載する定期購読マガジンを配信しています。無料部分もありますのでぜひお読みください。

政策人材のための教科書  ~現場の声を政策につなげるために~|株式会社千正組|note

講演、コンサルティング、研修のご依頼などはこちら

編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2023年9月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?