問題の構造:絶大な権力
さて、ジャニーズ事務所内のことから視点を上げて、社会問題として見ていきたい。
テレビ局やメディアの担当者の視点から考えたい。ジャニーさんの不祥事を仮に知ったとしても、そうした報道を聞いたとしても、ジャニーズタレントを使わないという選択肢はすでになくなっていた。
これだけ芸能界にジャニーズタレントが多く、皆人気なので、ジャニーズタレントを使わないという選択肢を提案するのは難しい。提案しても上司には却下されるだろうし、キャスティングではジャニーズのタレントがいないことでの魅力低下が進んでしまう(自分の番組の視聴率が落ちるわけ)。
ジャニーズに疑問を呈すると目をつけられるし、時にはメリー氏からの圧力にさらされてしまう。ジャニーズ事務所は政治家や権力者との関係、警察・大手放送局などから天下りで大物を招き入れ、人事面でも権力を握っている。
その立場になってみても、「ジャニーズのタレントを使わない」という選択を取れないのは普通のこと。ジャニーズ事務所のプレゼンスを前に、テレビメディアとしてはそうせざるを得なかった、というところか従うしかない。批判する人もいるだろうが、普通の担当者や経営幹部はそうした選択をとれない。企業の社員にしか過ぎないからだ。
問題はメディアが組織として某巨大芸能事務所に対して毅然たる姿勢をとれなかったこと。何ができていればよかったのか、
ジャニーズ事務所タレント以外の他の選択肢を持つ、探しておく 1999 年の週刊文春にて特集報道されたときに確認、明確な説明を要求する 否定したならその根拠や説明を明確に求め、明確な説明を要求する 東京高裁平成15年(2003年)7月15日判決、ウ 最高裁平成16年(2004年)2月24日決定に対して事務所に確認し、明確な説明を要求する BBCのように調査報道をする 番組内でのジャニー氏をちゃかしたパフォーマンスを許容する 事務所が何をいっても毅然に対応する ジャニーズ事務所をやめたタレントを起用するこうした取り組みをしておかないといけなかったわけだ。特に、BとCとDが徹底できなかったのは残念であった。
メディアの報道としてはEができなかったのはジャーナリズムとしては「敗北」と言ってもよい。その意味で、絶大的な権力者の暴走を止められなかった関係者たちはそれなりに反省をしないといけないし、できればその時の対応を告白して欲しいものだ。というか、検証しないとメディアとしての信頼性を保証できない。「SDGs」「コンプライアンス」「ジャーナリズム」などを主張する資格を問われるだろう。
被害者の立場から精神的な被害を受けた方々も、ジャニーさんの前ではどうしようもない、と諦めてしまった。性被害のトラウマは想像を絶する。
権威主義的な色合いが強いので、この社会構造を変えないと、彼らは報われない。メディア以外ができることは
企業:そうした事務所のタレントを広告・PRに使用しない 行政:警察も児童虐待被害に対して強力に進める・性的虐待相談窓口の拡充する 政治:政党や政治家がヒアリング窓口 ファンたち:噂があったら許容しない 保護者:そういう事務所には子供を預けないジャニーズ事務所は真摯に反省し、これから対応していくそうだ。しかし、今後は厳しそうである。経済同友会の新浪剛史代表幹事は「タレントの起用はチャイルドアビューズを企業が認めるということ」と発言した。企業の「社会的責任」とグローバルスタンダードが日本社会を帰る起爆剤となるか。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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