目次
ただの販売店違いをかなぐり捨てた3兄弟最後のFMC
あくまで保守層向けだった長男・マークII(8代目)
スポーツ路線でレースにも出た次男・チェイサー(6代目)
ハイソカーの夢よもう一度という三男・クレスタ(5代目)
ただの販売店違いをかなぐり捨てた3兄弟最後のFMC
マークIIとは明確に異なるスポーツ路線でレースにも参戦した6代目チェイサーだが、肝心のJTCCが参戦台数減少で終了してしまい、活躍の場を失った flickr.com Author:Iwao CC BY-SA 2.0
現在までも「トヨタの保守的オヤジセダン3兄弟」として歴史に名を残し、人気漫画「GTO」(藤沢とおる)では3教頭がそれぞれ同型式のマークII、チェイサー、クレスタを所有するなど、ネタとしてもよく使われるマークII3兄弟。
1980年に末弟のクレスタが登場するとハイソカーとして、さらに1G-GTEを載せた「GTツインターボ」をラインナップするなど足並み合わせた進化を遂げた3兄弟ですが、1990年代バブル崩壊とRVブームによるセダン低迷で、史上初の個性を前面に出したフルチェンジ。
1996年に登場したそれぞれ新型の3台は、販売店の客層違いもあって実際にはそれぞれ異なったイメージを持っており、それに合わせた全く別車のような道を歩みますが、努力は実らず最後の3兄弟揃い踏みとなりました。
今回は1990年代マークII3兄弟最後の戦いとして、3台のトヨタX100系がそれぞれどのような個性を持ち、イメージ戦略でユーザーの回帰、新たなファン獲得を狙ったかを振り返ります。
あくまで保守層向けだった長男・マークII(8代目)
8代目マークIIは、トヨペット店の保守層ユーザー向けにもっとも手堅い正常進化となり、結果的にそれが正解だった
当初はコロナの上級移行、その構想に難があると解ればコロナの上級モデル「コロナマークII]として改めて1968年にデビューした、後の3兄弟における長兄、マークIIは、もっとも歴史を重ね、かつトトヨタ店に次ぐ保守層向けチャンネルのトヨタ店扱い。
必然的にそれまで歴史を重ねてきたラグジュアリー系の「グランデ」と、1980年代半ばから加わったGT系を受け継ぐ「ツアラー」、それにタクシーなど法人需要のため旧型を継続生産するセダン、ワゴン/バンという重厚なラインナップを誇る、まさに主力車種!
8代目となるX100系では正統派のグランデ、スポーツ系のツアラーとともに高級ラグジュアリーセダンとしてトヨペット店の保守層ユーザー向けの要望に応えた、もっとも正統派、正常進化となるモデルチェンジでした。
3兄弟で唯一、次の9代目X110系へのモデルチェンジに繋げた際は居住性を重視したハイルーフ化を敢行するも、結局は後継のマークXで高級ラグジュアリースポーツセダン路線へ回帰し、8代目X100系ツアラーはその礎となります。
要するに「いかにもトヨタらしいセダンがもっとも正解だった」ということでしょう。