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「RV」とはなんだったのか、そしてその原点は?
最初から3列シート車を設定したミニバンの始祖、初代マツダ ボンゴ(1966年)
「RV」とはなんだったのか、そしてその原点は?
レクリエーショナル・ビークル、略して「RV」。
1990年代に一大ブームとなり、三菱 パジェロ(当時は2代目)が初期の牽引役だったことや、メーカーもRVグレードとしてグリルガードや背面スペアタイヤなどの装飾を施すことが多かったことから「RV=現在でいうSUV、それもクロカン」と解釈する人もいます。
しかし、実際にはセダン、ハッチバック車、クーペといった、旧来からの乗用車観を覆すミニバン、トールワゴン、ステーションワゴン、ピックアップトラックなどの乗用モデルも「RV」に含まれており、より広いカテゴリーを表すものでした。
今回は、いずれも当時はブームとなるほどのヒット作にはならなかった、あるいは実験的な車種で終わったものの、1960年代〜1970年頃に登場し、後の「日本におけるRVブームの原点」とも考えられる、代表的な3車種を紹介します。
最初から3列シート車を設定したミニバンの始祖、初代マツダ ボンゴ(1966年)
1990年代のRVブーム以降、現在までに大小様々な3列シートミニバンが販売されていますが、1966年にマツダがリアエンジン後輪駆動のRRレイアウトで開発した同社初の1BOX商用バン、初代「ボンゴ」には、当初から3列シートの「ボンゴ コーチ」がありました。
その当時、フルキャブオーバー1BOXタイプの軽商用車や、トラックシャシーに15人乗りマイクロバスボディを架装した初代プリンス ホーミーは存在したものの、現在のミニバンに近い3列シート8人乗り車としては、ボンゴが初。
翌年にトヨタがハイエースやミニエースで同種の3列シート多人数乗車モデルを発売すると、三菱や日産もそれに続き、1980年代の初期RVブームで豪華高級路線に転じたあと、ヨリスペース効率を追求した現在のFF底床ハイルーフミニバンに発展していきました。
ただし、始祖的な存在であるボンゴ自体は、当時のマツダがロータリーエンジンやレシプロでも低公害エンジンへ注力するため、ボンゴへ割ける労力が乏しく、途中800ccから1,000ccへと排気量アップした程度。
頻繁なモデルチェンジによる商品力強化を受けないまま、1975年に一旦生産終了(1978年に2代目でバン/ワゴンが復活)しますが、まだレジャー向けミニバンの需要が少ない時期でしたから、その程度の扱いでも十分だったのでしょう。