アウンバラマが起こす奇跡がスゴい!

 藤田西湖がアウンバラマの邸宅を訪れたときは、ちょうどベルサイユ講和条約の調印が新聞に報じられていた。すると、アウンバラマは藤田の目の前で書生に対し、

「一昨年の日記を持ってこい」

と命じた。書生が日記帳を持ってくると、アウンバラマは悠然とこれを取り上げてページをめくり、

「オッ、これじゃ。講和の調印式は2年後の今月今日になるべしと、6月28日のところに書いてある」

と述べると、ページをトントンと指で叩いて得意げに周囲の客に示した。

 アウンバラマの能力は予言だけではない。彼はしばしば仏舎利なるものを口から吐き出したり、相手の頭や体から取り出して見せた。また、客と対談中に突然、

「ただいま、釈尊から、尊いインスピレーションがありましたから、ちょっと失礼する」

と述べて席を立って書斎に引っ込むと、ものの2、3分で墨痕も生々しい文字を大判の紙いっぱいに書いて持参したりした。内容は仏典の一節であり、これを見た誰もが、これほど難解な長文を数分のうちに書き上げるとは、と感嘆するのだ。

 アウンバラマの評判は、真言宗の総本山高野山にも伝わり、彼は招かれて高野山を訪れ、並み居る高僧の前で仏舎利を出現させたりもしたという。