この数字で見ると、就業者の外人は日本の生産年齢者数7510万人(2019)の僅か2.2%でしかない。これからも仮に毎年20万人の移民を受け入れるとして、2040年には340万人の移民が現在のそれ(172万人)に加わって512万人となる。2040年の生産年齢人口は5978万人とすると、外人就業者は8.5%となる。これは現在働いている移民外人が2040年まで働いているという前提に基づいての推計である。
今後のプランとして、高学歴の特殊専門技術をもった移民を積極的に日本に誘うべきだ。既に、一部企業では特にアジアから優秀な人材を雇用している。それを政府も支援して積極的に誘うべきだ。それは一般企業から大学においても同様である。
日本がIT分野で遅れを取り戻すには外国から優秀な人材を雇用することが必要である。優れた能力を持ち新しい発想ができる外人が日本の企業や大学などで働き研究してもらうことが必要なのである。そこからイノベーションが生み出されて行くのである。これから少子化が進んで行く中で、日本人だけに頼っての研究開発では世界に追いつけなくなるのは自明である。
同様にそうしないことには、競争について行けなくなって存続できない企業が出て来るのは確実である。日本政府は移民に就いて彼らを増やす増やさないという視点から判断しようとしているが、生産年齢者が減少して行く中で企業も存続して行けるだけの能力を備えて行かないと廃業に追い込まれるようになるであろう。その為にも多様性ある文化を企業も受け入れて新しい視点から企業を発展させていくことが必要なのである。
日本は依然鎖国が続いている日本は世界に門戸を開いた国だと思われているが、外国に永住している筆者から見れば日本は今も鎖国が続いているという印象を受ける。多くの面で発想が遅れているのである。そしてバイタリティーが不足している。
既に述べたように、移民の受け入れで日本の伝統文化に被害を及ぼすといった古い考えは日本をこれからも世界の科学分野でトップレベルを維持して行くには障碍となるであろう。しかも、外国からの移民が少ない現在でさえも既に多くの日本人が本来の日本の伝統文化の教えから逸脱してしまっている。精神的にも軸を失っている日本人が多くいる。寧ろ、外国からの異文化を取り入れて多様性のある広い視野をもった日本人を形成して行く方が将来の日本の為には有効である。
英国では現在アフリカ系インド移民2世リシ・スナク氏が首相になって英国の発展に尽くしている。アルゼンチンでも1989年に大統領に就任したカルロス・メネム氏はシリアの移民2世で、一時的ではあるがアルゼンチン経済を立て直した功労者である。将来、日本も移民2世が首相に成れるような社会の到来を筆者が望んでいる。今の日本の資質に欠ける国会議員そして政府を観察していると、その必要性を筆者は執拗に感じるようになっている。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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