怒っている人の様子を「憮然としている」といった表現をすることがあります。
しかし、この表現というのは本来の意味とは異なる用い方、つまり意味を勘違いされているということになります。
そこでここでは、「憮然」とはどのような意味なのか、どうして勘違いされてしまうのかといった要素について解説します。
目次
「憮然」とは
・憮然の本来の意味
・憮然の用い方・例文
「憮然」は勘違いされやすい言葉?
・半数以上の人の認識している「憮然」
・怒りの意味と認識した人は減っている?
「憮然」とは

「憮然」の本来の意味について見ていきましょう。
憮然の本来の意味
「憮然」は、失望してがっかりする様子を意味します。
落胆してどうすることもできない様子に対して用いられることもあります。
つまり、失望や落胆をあらわす語句ということになります。
憮然の用い方・例文
「憮然」は、失望していることや落ち込んでいる事をびょうしゃする際に用います。
・彼はあまりの出来事に憮然としてうなだれたままだった
この一文では、立っていられないほどショックな事が起きたとこをあらわしています
・その報道を受け、社員は憮然とため息をつくしかなかった
信頼を裏切られるような報道を聞いた社員が、愛社精神もなくなり呆れたようすを描写した一文となります。
「憮然」は勘違いされやすい言葉?

失望や落胆を意味する「憮然」。
しかし、その意味を勘違いして用いられる事が多い語句ともなっています。
半数以上の人の認識している「憮然」
文化庁が平成30年度に行った『国語に関する世論調査』の中で、「憮然」の意味に関するアンケートも行われました。
その選択肢は下記の5つ
①:失望してぼんやりとしている様子
②:腹を立てている様子
③:①②の両方
④:①②とは全く別の意味
⑤:分からない
正解は①なのですが、②に56.7%の回答が集まるという結果に。
つまり、半数以上の人が怒りの感情をあらわす語句だと勘違いして認識しているということになります。
怒りの意味と認識した人は減っている?
ちなみに、同様の調査が平成15年度と平成20年度にも行われています。
その際は、平成15年度は②に69.4%、平成20年度が②に70.8%という回答結果になっています。
平成20年度から平成30年度の間、10年で「憮然」は怒りをあらわすと認識している人は減っているということになります。
しかも、①と回答している人も平成20年度が17.1%で平成30年度は28.1%と増加しているのです。