ライバルは不在
さて、こうした走行性能を持つレヴォーグ・レイバックは他社にライバル不在ではないかと思う。ステーションワゴンタイプのデザインでSUV、あるいはクロスオーバーというカタチをしたモデルが見当たらない。欧州車であればアウディのオールロードやメルセデス・ベンツのオールテレインあたりが同じ傾向のデザインだが、相手はプレミアムブランドであり、価格帯が2倍近く異なるモデルだ。強いて言えばフォルクスワーゲンのパサートオールトラックがあるが、それでも1.5倍ほどは価格帯が異なるし、ボディサイズのセグメントも異なっている。
都会派のSUVが欲しいがクロスカントリー系のデザインは好みではない、という人たちには待っていたモデルということができそうだ。これまで都会派SUVではトヨタのハリアーがヒットしているが、強力なライバルになるのではないかと予想している。

満足度の高いレヴォーグ・レイバック
レイバックのターゲット層は30〜60代のファミリー層で、走行安全や揺れや振動が少ない、運転が楽しい、視界性能が良いといった性能を求めるユーザーには最適なモデルになるだろう。その理由は、レヴォーグでは先進安全、ワゴン価値、そしてスポーティで訴求しているが、レイバックはこれに上質さを加えて提供価値としているからだ。
その上質さにはまずデザインコンセプトに「凛」と「包」というワードを使い、凛とした佇まいとおおらかに包み込むというコンセプトでありつつ、土の匂いがしないというニュアンスを持つ。だからどんなシーンにも似合うデザインで、リラックスでコンフォートであることを意識したデザインなのだ。色使いでもスバルとして、初めて空間を彩るアッシュとカッパーステッチの色使いをするなど、センスにこだわるインテリアにも力を入れている。


また上質さの中には静粛性もあると思うが、オールシーズンタイヤを装着しながらも高い静粛性を確保し、さらにハーマンカードンの高級オーディも全車標準装備という大判振る舞いもされている。
もちろん安全装備も充実でスバルの2030年死亡事故ゼロを目指すスバルとしては、アイサイトXの標準装備化、3つのカメラで視界を広く、そして15km/h以下になると自動でフロントビューの画面が切り替わるオートモードを設定している。


これらの充実した機能と高級装備を持ちながら価格帯は330万円から380万円程度までで提供され、かなりお値打ちの価格になっているのだ。
ワインディング以外はまだ走行していないが、見た目のスタイリッシュさや乗ってみての上質さ、静かさなど満足度は高く、装備類の充実にも目を見張るものがある。スバルはアイサイトなども含め先進装備の手の内化にも力を入れていることが、こうした車両価格に反映できるのではないかと感じた。唯一の懸念はパワートレインがガソリン以外選択できないことになるが、新社長の中期経営計画からも電動化が期待できるモデルなのではないだろうか。

提供・AUTO PROVE
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