特に食糧とエネルギーに関しては供給と価格安定も念頭に提言されたものですが、それらのリスクは私は違うところに主因を見ています。
① ポストコロナで安定期にまだ至らないこと ② 地球温暖化による干ばつや異常気象による農作物や水産物が計画通り産出されないことが不可抗力になりつつあること ③ SDG’sに絡み、エネルギー源を化石燃料からの脱却を進める政策的スピードが速すぎるため、各国の思惑が複雑に入り組み、人々の生活の変化対応がキャッチアップしていないことがあると思います。
①については今後、同様の伝染症の疾病が起きない前提に立てばあと1〜2年で落ち着くとみています。
②については農産物や水産物のアウトプットが異常気象により、世界的な安定感が無くなるという前提にたった提言が欲しいところです。世界レベルでの供給バランスを考慮し、凶作や価格上昇に耐えうるストックする算段を行うべきでしょう。食糧とエネルギーの価格については供給国の一方的な利益確保のための価格上昇を制限できる条項を取り込む仕組みがないとG20の本来の意味はないと思います。
③は読んで字の如くで、世界の首脳がCO2排出量などについて2030年とか50年という仕切りを作ったことで企業がそれに合わせた行動規範を作ったのは良いのですが、最終消費者がそれに振り回されている感じはします。
一方、産油国は自国の経済体質を変えようと努力はしていますが、脈々と根付いた資源国の「ここ掘れワンワン」的な発想を変えるのは何世代も必要で、結局、その間、自国の権益を守るために産油の蛇口を占める行為は一番簡単な価格調整機能になってしまうのです。それを世界が制御できる仕組みは無いのです。
結局、各国の利権、利益、都合を国境を越えた国々でルール作りしましょう、というのは現実には極めて難しく、当面は当事者間の交渉に頼らざるを得ないのだと思います。仮に国際会議で特定国が批判されるような事態になれば拒否をし、強制力がない宣言である以上、それに従わないことは可能となります。
アメリカが世界の警官であった際には強権力があり、従わない場合には厳しい制裁が待ち受けているというアメとムチの関係が結果としては世界秩序をある程度保つことが出来ました。今のように大国も小国も同じ立場になると民主的ではありますが、機能の面ではどうしても劣ってしまう、これが私の思うところであります。
もちろん、国際会議をするのは構いませんが、形骸化した内容から踏み込めるスタイルに変える努力をしないと10年経っても20年経ってもほとんど会議の成果は見られないということになるのではないでしょうか?
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年9月11日の記事より転載させていただきました。
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