サラリーマンの方が起業している人の生活を見てうらやましいと思うのは収入、時間の自由度、働き甲斐、定年がない、転勤もない、場合により家族で経営といった点でしょうか?ただ、私から見ればサラリーマンより収入が多い個人経営者はそんなに多いとは思わないのです。羽振りがよく見えるのは経費を使い、利益をゼロにして税金を払わないようにする方もいるためで、旅行やら食事やらに費消する派手な会社もあるわけです。クルマが豪勢な会社は概ね税金対策です。新車をパッと買って決算前に売って損を作り、税務対策にするわけです。欧州の高級車はその対策の典型でしょう。

どちらが良いかという話はしません。ただ、間違いなく言えるのは起業のハードルは昔よりはるかに上がった、これだけは申し上げられると思います。まさか終戦直後の闇市の中での起業を思い浮かべる人はもういないと思いますが、今は人々の欲求を満足させる仕組みは先進国ではほぼ完成しています。これからのモノやサービスの充足はドラえもんのポケットからでてくるような斬新なものでないと困らないものばかりです。

一方、商品やサービスがあまりに増えすぎて消費者や法人とのコミュニケーションが取れなくなっていて、「へぇ、そんなものがあったんだ」的なものも結構あるので営業活動の強化による売り上げ創出は可能かと思います。要は便利になり過ぎて消費者は食傷気味の中、何をどう売り込むか、だと思います。

私が日本とカナダでビジネスをしている限りでは消費活動は「メリハリ」の度合いがより鮮明になってきたと思います。使うものには使うけれどどちらでも良いものは徹底的にコストカットをするというものです。つまり駄々洩れ型の消費は減るということでしょう。

この辺りを考えるとサラリーマンは給与がちょっとは安くてもやっぱり楽です。社会基盤がより充実し便利な社会になればなるほど面倒な起業家なんてくそくらえ!になってしまうのでしょう。私なんて昭和の化石と言われそうです。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年9月10日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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