賄賂で入札ルールを変更してはならない
しかしこのルール変更は、日風開にとっては自殺行為である。基準価格3円で入札すると、市場価格がそれ以下のときはプレミアムが受け取れるが、そんな価格は世界のどこでもついたことがない。日本の洋上風力では15円ぐらいが相場である。
この場合、FIPでは3円で売る必要はなく、市場価格で売ってもよい。太陽光でもそういう業者が増えているが、この相場は10円程度である。だから市場では、洋上風力も10円で売らないと競争できず、赤字操業になるおそれが強い。
こんな赤字入札をするのは、将来30年にわたって海域の独占権が与えられるからだ。つまり今回の入札ルール変更は、三菱商事グループを排除して価格競争をなくし、政治家と密着した日風開やレノバなどの業者の独占を確保することが目的なのだ。
全社が3円で入札すれば国民負担はなくなるが、資材が値上がりし、外資系の風力発電メーカーも撤退する中で、黒字が出るかどうかはわからない。価格競争力のなくなった洋上風力は(三菱商事グループ以外は)全滅するおそれが強い。
何よりすでに始まった入札のルールを賄賂で変更することは、法治国家として絶対にあってはならない。西村経産相は「有識者会議で決まってパブリックコメントも募集した」というが、昨年3月22日の合同会議の前の3月18日に萩生田経産相が突然、入札ルールの変更を決めており、その経緯は不明である。
現在の入札は白紙撤回し、あらためて昨年3月に中止した第2ラウンドの入札を(第1ラウンドと同じルールで)再開すべきだ。入札ルールを見直すのは、第2ラウンドが終わってから考えればいい。行政の決定を事後承認するだけの合同会議は解散し、あらためて中立の立場の審議機関をつくるべきだ。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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