「#凌我と共に国立へ」入場者8,659人
しかし、負傷した佐藤自身は前向きだった。自身のSNSでは下記のように投稿した。
「リリースの通り長期離脱することになりました。チームがこれからという時に怪我をしてしまい申し訳ないです。サッカーをしている以上怪我をしてしまう可能性もさせてしまう可能性もあります。試合後相手選手とも話しましたし、僕自身前向きに捉えているのでこれ以上誹謗中傷は無しでお願いします!必ず強くなって戻ってきます」
これを受けて多くのサポーターがSNSで「#凌我と共に国立へ」とタグを付け、必死に前を向いたのである。第1戦終了後の段階で5,955人だった第2戦の来場見込数は日を追うごとに急増し、実際の入場者は8,659人を記録。ルヴァン杯グループステージの3試合の入場者はいずれも3,000人台であったことからも、多くのサポーターが急遽駆け付けたことが分かる。
FWルキアン、DF井上も負傷の激闘
そんな準々決勝第2戦は、前半17分にFWルキアンが負傷交代となり、なかなか効果的な攻撃を見せられない展開に。それでも、1つのプレーで流れを変えることに成功する。
前半38分にDF井上聖也が右サイドからゴール前へフィードを送ると、DF小田逸稀が胸で落としてFW山岸が左足を振り抜く。先制点で流れを掴むと、前半アディショナルタイムにはコーナーキックをDF小田が頭で合わせて追加点。その後は自慢の堅守で決定機を許さず、狙い通り2-0で勝利した。
試合後のヒーローインタビューでは、1得点1アシストを記録したDF小田のもとに佐藤が登場。東福岡高校時代の同級生であり親友とも呼ぶべき間柄の2人は抱擁し、小田の目には熱いものがこみ上げているように見えた。サポーターも試合後、通常アウェイ戦時に歌われる「博多へ帰ろう」のチャントを「国立へ行こう、凌我と行こう」に変え、国立競技場で行われる決勝進出とクラブ初タイトル獲得を誓った。
これまで以上の一体感をみせ、難敵FC東京を撃破した福岡。ただし、現時点ではまだ何も手にしていない。クラブ史上初となる国内3大タイトル(J1リーグ 、天皇杯 、ルヴァン杯)での決勝進出、そしてタイトル獲得に向けては、次の準決勝を突破しなければならない。