走り
クイックシフター
SPモデルにはクイックシフターが搭載されているので、クラッチ操作せずともシフトチェンジを行うことができる。ただ、クイックシフターと言えばレースにおける素早いシフトチェンジが可能というイメージが強く、一般道でも必要なのだろうか? という疑義的な意見があるのも事実だが、ツーリング時に高速道路はもちろんワインディングでもクラッチレバーを握る必要がないというのはかなり楽である。特に1000ccクラスの大型バイクとなればクラッチレバーの重さはそれなりにあるので、シフトチェンジする度に握らなくても良いというのは、少なくとも左手の疲労はかなり軽減されるはずだ。
電子制御システムの連動でライダーをアシスト
スーパーバイクレースのベース車両ということもあり、『ライダーエイド』とも言える電子制御システムが多数搭載されている。ライダーの好みに合わせて出力特性を5段階で調整できるパワーセレクター、9段階のトルクコントロール介入およびOFF選択が可能なHondaセレクタブルトルクコントロール、3段階のレベル選択ができるセレクタブルエンジンブレーキ、セミアクティブサスペンション的な挙動制御でライダーをアシストするオーリンズスマートECシステムなどなど。そして、これらはすべて連動することでライダーへのストレスを軽減し、限りなく純粋なスポーツ走行を追求できる仕様となっている。
192馬力ながらもライダーに優しいエンジン特性
ワインディングをツーリングペースで走っているぶんには、ピークパワーが192馬力とは思えない、とてもフレンドリーかつジェントルな感触のエンジンである。力強さよりも扱いやすさの方が前面に出ている感じだ。そして、直列4気筒エンジンは整然と高回転まで回るエンジンが多いだけに、『味』という部分ではどうしても没個性になりがちだ。しかし、このエンジンはちょっとしたバイブレーションというか、良い意味でのガサゴソ感がライダーに伝わってくるので、それが心地良くて思わずスロットルを開け閉めしたくなるようなキャラクターが感じられて面白い。
総括
192馬力のハイパワーエンジンに加え、電子制御テンコ盛りのレースベース車であり、見方によればイカツい外観を持つピュアスポーツマシンである。しかし、先述のようにフレンドリーかつジェントルで、ライダーに過度なスリルを与えないのは、このCBR1000RR SPの意外な一面と言えるかも知れない。常にライダーの気持ちに寄り添いながらコーナリングしてくれるような、シャープでスポーティでありながら従順であるというのが、このバイクの最大の特徴なのかもしれない。