説得力が強まる「太平洋横断拡散理論」
このようにオルメカ文明には、中国の芸術スタイル、文化的伝統、文字と多くの文化的重複があることを示唆する重要な証拠があり、またヒンドゥー教と仏教の建築様式や伝統との関連性も多く見られる。
これは、インドと中国が数千年にわたって文化的に相互に影響を与えてきた隣国であるという事実に起因すると考えられ、ヨガはおそらくインドから中国へ伝わり、その後移民によってオルメカの中心地に導入されたことが、オルメカの陶器の置物の多くにヨガのポーズが描かれていることからもわかるという。

スミソニアン博物館の研究考古学者であるベティ・メガーズ氏によるとアジア人は何千年もの間、アメリカ大陸を行き来しており「古代人は海を障壁ではなく、高速道路だと考えていた」と指摘する。1965年、彼女は日本の縄文土器とエクアドルのバルディビアで発掘された紀元前3000年頃の縄文土器の技術と装飾モチーフに驚くべき類似点があることを見出し、日本の縄文文化からエクアドルへの漁民の移住を指摘した。この考えは当時考古学者によって批判されたが現在では遺伝的裏付けが発見されている。
メガーズ氏とシュー博士はどちらも、黒潮と親潮のような太平洋の自然の水の流れがボートを南北アメリカ大陸まで容易に運んだ可能性があると考えている。黒潮は中国と日本の東海岸沖を北に流れ、親潮と合流して北太平洋海流を形成し、太平洋を横切ってカリフォルニアの海岸に沿って南に流れている。実際に1600年代から1800年代半ばの江戸時代において、二十数隻の日本の船が漂流の末に強力な黒潮の流れに乗って北米に到着している。
「太平洋横断拡散理論(Transpacific diffusion theories)」は20世紀前半に学界で広く議論されたが、1970年代以降、アメリカの考古学者はこの主題を軽蔑的に扱い研究は事実上停滞した経緯がある。

アジアとアメリカ大陸の間の大洋を越えた接触を裏付ける証拠の量は、長年にわたって着実に増加しており、太平洋を隔てて向かい合う文化は多くの面で本質的に関連しているのだが、そのつながりの一部は非常に複雑であるため、まだまだ研究の余地が残されている。
新しい世代の歴史家や考古学者が、歴史の主流を導くように見える根強い“定説”を振り払い、 コロンブス以前のアジアとアメリカ大陸における古代文明間の長年にわたるつながりを示す考古学的証拠を正当に考慮することに期待するほかにないと筆者のミシュラ氏は結んでいる。
古代のメキシコ人がヨガを実践していたとすればなかなか愉快なことかもしれないが、大航海時代の数千年も前から“新大陸”はすでに発見されていたどころか、活発な交流が行われていたことはもはや否定できそうもない。
参考:「Mysterious Universe」「abcnews.com (Wayback Machine)」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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