“新大陸”とは大航海時代に新たに発見された南北アメリカ大陸のことだが、それは本当に新発見であったのか――。実は紀元前2000年も前からアジアと南アメリカは活発な交流を行っていたことが各種の史料によって示唆されている。その中にはインドのヨガを古代のメキシコ人が行っていた証拠もあるのだ。

夏王朝時代に中国人が南米に移住していた!?

 古代インド発祥の伝統的なプラクティスであるヨガは少なくとも紀元前2000年以上前から行われていたことがわかっているが、遠く離れた南アメリカ大陸にも伝わっていたというから驚きだ。

 紀元前1200年頃から紀元前後にかけ、先古典期のメソアメリカ(Mesoamerica)で栄えた文化・文明である「オルメカ(Olmeca)」だが、古代文明研究家でライターのビブ・デイブ・ミシュラ氏がオルタナティブメディア「Mysterious Universe」に寄稿した記事の中で、オルメカの土偶や石像のコレクションからさまざまな難易度の11のヨガのポーズを特定したことが報告されている。これは偶然の一致などではなく、明らかにヨガがオルメカ文明に伝わっていたことを示しているということだ。

紀元前メソアメリカのオルメカ文明はどこでヨガを学んだのか? 数千年前に中国と交易、貨幣、建築スタイルも伝来か
「Mysterious Universe」の記事より(画像=『TOCANA』より引用)

 ミシュラ氏によれば、ヨガはインドから直接南アメリカに伝わったのではなく、中国を介してメソアメリカ文明に伝来したということである。メソアメリカに古代中国人の貿易商や移民が渡来していたことを示す証拠が数多くあるという。

 たとえば1882年、ブリティッシュコロンビア州の鉱山労働者によって、地中から30枚の古代中国のコインが発見されている。コインには紀元前2637年に黄帝によって発行されたものであるという。

 オルメカ族と中国人を結び付ける決定的な証拠は1996年にテキサスクリスチャン大学のマイケル・シュー博士によって提示され、オルメカ族は中国の殷王朝からメキシコに移住した人々と現地人が交じりあった種族であるという仮説を提唱した。

 また一部の研究者の間では、中国からの移住は夏王朝(紀元前2070年頃-紀元前1600年頃)の初期に起こった可能性があるという見解が浮上している。オルメカ文明は冶金学の知識を持っていなかったので、中国からの移住は夏王朝時代の紀元前1800年頃に中国で青銅冶金技術が出現する前に行われたというのである。この時に中国の工芸品などと共にインド起源のヨガがオルメカに伝わったという。

 シュー博士は自説を裏付けるために、オルメカ文明と中国文明の間の多くの文化的つながりを特定した。たとえばどちらの文化でもヒスイ(翡翠)は貴重で純粋な石と見なされており、どちらでもヒスイを使ってさまざまな家庭用および装飾品を作っていて、特に埋葬マスクとして使われた印象的なヒスイのマスクを共有しているという。

紀元前メソアメリカのオルメカ文明はどこでヨガを学んだのか? 数千年前に中国と交易、貨幣、建築スタイルも伝来か
「Mysterious Universe」の記事より(画像=『TOCANA』より引用)