菅前首相

秋本事務局長を初めとする再エネ議連は、2022年の年明けから猛烈な巻き返しを始めた。再エネ議連の柴山昌彦会長は「毎週、議連の会合に役人や業者を呼んで、入札の問題点等について聞き取りを行ってきました」と認めている。

秋本が頼ったのは、法政大学の先輩で再エネ議連の顧問でもある菅義偉前首相だった。菅氏は入札結果を説明に来た資源エネルギー庁の保坂長官を「おかしいんじゃねえか」とどなり上げたといわれる。

もう一人の登場人物は、レノバの千本倖生会長である。彼はこのルール変更の中心人物で、新しいルールは「レノバ方式」ともいわれる。

彼はDDIの元副社長で、電波行政の関係で菅氏とも親しく、当時、議員会館に出没する姿が目撃されている。現代ビジネスの記事では「(菅氏とは)以前から懇意にしていただいており、その面談の目的は洋上風力発電の入札ルール見直しではない」と面談の事実を認めた。

秋本はレノバの株主だったが、洋上風力の入札に失敗してレノバ株が暴落した前後に、全株を売却している。この購入資金はどこから得たのか。レノバから株を借りて利益を清算した「リクルート方式」ではないか、と国会で追及されたが、秋本は答弁を拒否した。

河野太郎氏

昨年3月18日に、第2ラウンドの入札が延期されたとき、再エネ議連の実質的なトップである河野太郎氏は、次のような祝福のツイートをした。

日経新聞が6月にこの問題を取り上げた記事を、彼はこう批判した。

これは語るに落ちている。彼は「クローズの会合の中身をエネ庁が流した」と批判しているが、役所がそういう内部告発をするのはなぜか。それはいったん公示した入札を途中で延期してルールを変更しろという不当な圧力への抵抗だろう。

彼がエネルギー基本計画をめぐってエネ庁を「日本語わかる奴、出せよ」とどなり上げたときも、この録音を週刊文春に提供したのはエネ庁の職員だといわれている。同じような会話が、洋上風力をめぐって行われ、それに怒ったエネ庁職員がマスコミに情報提供したことは想像に難くない。

いずれにせよ、この疑惑解明はまだ始まったばかりで、全体像がみえない。秋本の場合は職務権限(国会質問)、現金授受、請託(いずれも贈賄側が認めた)の3条件がそろっているので、受託収賄罪の成立は確実だが、他の政治家については金の流れがわからない。

ただ2030年までに40兆円にのぼる再エネ賦課金が、再エネ業者が政治家を買収する資金になっているので、金の流れさえつかめば、他にも再エネ議連のメンバーを摘発することは可能だ。再エネロビーの金は野党にも流れているので、そっちから火を噴く可能性もある。それがこの問題に野党がおとなしい理由である。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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