ところでスイスの高級腕時計は日本人には根強い人気ですが、なぜ一本100万円以上するような時計を買うのでしょうか?これは貴金属の希少価値をはやすからです。私もスイス製の時計を20年以上つけていますが、限定品だったので売れば価値はそれなりにあるはずで購入時の2倍にはなっているのでしょう。

日産GTRの現在の前の型、R34型は中古価格が上昇しています。理由はアメリカで許可される25年以上古い車の輸入制限がもうすぐクリアになるからです。R34が活躍したのが99年から2000年初頭でしたので間もなく25年になるため、取引価格は概ねUS40万㌦程度まで跳ね上がっているとされます。また現在のR35型もじわじわ価格が上がっているのは日産がもう新型を作らなくなるのではという噂があるからです。つまり希少価値には高値がつきます。

金も同様で採掘しやすいところがだんだん限られてきたため、採掘コストも上昇、その為、金採掘会社同士のM&Aは常時どこかで起きているような状態です。採掘業者も採掘コストの上昇をいかに抑えるか必死なのです。当然ながらそこには希少価値の金という面も出てくるでしょう。

資産形成という面で見ると近年の日本の方は金融商品という目線が主体になります。銀行預金、投資信託、株の配当やキャピタルゲイン…と数字できっちり見えるものがお好きです。残念ながら不動産の神話が崩れ、長期低落を辿ったこともあり、不動産を投資対象とする人は少なくなりました。最近、都心のマンションをその対象とする投資家も若干増えてきたようですが、一般の人向けではありません。かつては絵画とかゴルフ場会員権相場もずいぶん話題になったものです。

その点、金は抜群の安定感と世界共通の価値意識があります。特に国家が中央銀行を介して購入するケースが多く、政情不安の金ともされるし、金に国境はありません。日本が将来経済がどん底になり、ドル円が200円になったら金はしっかり価格を上昇しますし、売り手と買い手が多く相場は常に立っています。

そう考えるとお題の「金は財産になるのか?」はほぼ断言してYESと申し上げます。ただ、株式のように今日買って来週売って1割儲けたということにはなりません。それこそ、何十年も持つことに意味がある財産であり、個人のポートフォリオの1-2割程度が適正なのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年9月6日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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