安月給の解決方法
ここまでの背景を理解すると、取るべき選択肢がいくつか見えてくる。まず現状の勤務先からの大きな昇給を期待することは諦めた方が良いということだ。全社員の給与が安い傾向にあるなら、その企業の収益力が低いことが原因である可能性が高い。無い袖は振れない、期待して我慢するだけ時間のムダである。
「頑張る、努力する」という行動が実を結ぶのは、その頑張りが粗利を生み出すビジネス構造になっている場合に限る話だ。特に労働集約型産業では、努力してもなかなか昇給の実を結びにくい。これは誰かを責めて解決する問題ではなく、仕組み上の問題だ。
安月給なら起業や副業をすればいい、という声がある。だが起業は稼げるまでに時間がかかるのが普通だ。挑戦している間も家賃や食費で生活がある。「安月給だから起業して稼ぐ」と飛び出しても、安月給はゼロになっては元も子もない。副業も自分で事業をして稼げるには時間がかかり、稼げても休日にコンビニバイトをした方がマシなことも多い。
自分自身、会社員をしながら2年くらい週末起業でビジネスを育てるのに時間がかかっている。これは単に自分が不器用だったという理由もあるが、普通の人は収入がゼロの状態が続けばとても精神的に耐えられなくなるので「起業すればすぐに月収100万円!」みたいな夢ではなく現実的に考えて時間をかけて挑戦をするべきだろう。
だが多くの場合、この時間をかけた挑戦に耐えられる人は多くない。「稼げないなら起業や副業すれば?」は正論ではあるが、多くの人にとってはあまり現実的な提案とは言えないと感じる。
現実的には転職がいい総合的に考えると、やはり高値がつく技術経験を磨いて転職するのが一番現実的なプランといえる。年収200万円台の会社でどれだけ頑張って役職がついても、600万、800万と稼ぐのは難しい。だが、新卒から500万円、600万円もらえる会社は探せばあるし、そこでリーダー、マネージャー、スペシャリストを目指せば1000万円以上も視野に入ってくる。
実際、筆者自身も転職時に200万円年収アップの経験がある。妻の弟はITエンジニア職で20代で1000万円を超えた。安月給の課題は、高い給与を払える会社への転職が一番早い。シンプルに高給を払っても耐えられるだけの粗利を稼いでいるからだ。労働市場をリサーチし、どの技術や仕事内容に対してどのくらいの値がつくか?を理解して行動するのみである。
自分自身が昔、派遣社員の単純労働をしていた時期があったが、努力しても時給が10円とか20円くらいしか変わらなかった経験がある。「これはハイスキルがなければ、頑張っても高給は望めない」と体感して、英語力や米国会計スキルを身に着ける努力をした。勤務先に期待するのではなく、期待値の高いスキルや経験を理解し、それを身につけることに努力をするべきだろう。
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安月給問題は会社や経営者の怠慢とか、上司の人事力がどうとかではなく、シンプルに企業の稼ぐ力の話になってしまうことがほとんどだ。高給を払える収益力のある会社にいくのが一番現実的だろう。そのためにやることは高値がつく技術、経験を身につけることだ。つまり、自己研鑽とマーケット感覚を身につけることである。
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