百貨店再生ではなく百貨店解体
そごう・西武の売却をめぐり動きが注目されていたのがヨドバシカメラを傘下に置くヨドバシHDだ。ヨドバシHDは当初からパートナーとしてフォートレスによる買収に参画。昨年には西武池袋の改装案で低層階にヨドバシが入居するとなっていることについて、豊島区が反対の嘆願書を提出するなどして問題となっていた。
「ヨドバシHDは西武池袋の土地などを約3000億円弱でフォートレスから買うと報じられているが、そもそもこの金がなければフォートレスはそごう・西武の買収はできなかった。意外に思われるかもしれないが、ヨドバシは現在、池袋駅と渋谷駅の駅前エリアには出店しておらず、そこに店舗を持つそごう・西武を手に入れれば、出店の可能性が見えてくる。つまり、今回の事案は事実上、ヨドバシHDによるそごう・西武の買収といえる。主要駅前などの出店候補地の取得が難しくなるなか、フォートレスとヨドバシHDとしては、とりあえずそごう・西武を取得し、全10店舗のうち半分くらいにヨドバシを出店し、残りの半分の店舗は他社に切り売りするなどして手放す算段ではないかという見方もある」(小売り業界関係者)
正式にフォートレスがそごう・西武の100%親会社となった場合、西武池袋の改装問題は、どのようなかたちで決着すると考えられるか。
「フォートレスは投資ファンドという性格上、最終的な目的はそごう・西武を百貨店として再生させることではなく、企業価値を高めて高く売り抜けること。現在のそごう・西武という百貨店形態を維持したままでは、それは困難である以上、ヨドバシをはじめとする有力なテナントを誘致することで、現在の百貨店業界の流れである不動産賃貸モデルにシフトしていくのでは。いわば『百貨店解体』が進む」(西川氏)
ちなみに、そごう・西武労組がフォートレスへの売却に反対している理由として、雇用維持の不透明さをあげているが、フォートレスが大幅な人員削減などを行う可能性はあるのか。
「自社の管理売り場が減れば、当然ながら人員が余剰してくる。もし仮にセブン&アイHDが余剰人員を受け入れるとなっても、現実問題として百貨店の人材がコンビニやスーパーという業態に適応していくのは難しい。多くの固定客を持つ外商やマネジメント能力のある人材など優秀な人材は、他社の百貨店に移っていくだろう」(同)
(文=Business Journal編集部、協力=西川立一/流通ジャーナリスト)
提供元・Business Journal
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