以前、カナダ人はホテルの枕銭を置くのか、というアンケートがあったのですが、7割が置かない、と答えてびっくりしたことがあります。チップのあり方が大きく変わったのは最低時給が見る見るうちに上がり、この15年で2倍に引き上げられた点にあります。政府の言い分は「安い賃金の人たちの生活改善を図ろう」でした。理論的には「了解、ならばそれは受け入れるけれど客が払うチップもそれに応じて減額、ないし、ゼロにしようね」であります。

ところがレストランのチップは減額どころか、インフレしていて15%から18%に上がっています。(アメリカはもっと高いでしょう。)メキシコでも15%が標準と理解しています。しかし、サーバーさんは最低時給でも1750円貰っています。

最近、頭にくるのがレストランなどでのテイクアウト。持ち帰りなのに支払いの端末には18%、20%、25%のチップが出てきます。「君たち、甘えすぎ」と心で叫びながら無理やりゼロにしています。コロナの頃は「こんな中、大変だねぇ」の気持ちを込めて10%ぐらい差し上げていましたが、今は正常化です。

逆に仕事探しをしている人の話を聞くと「この仕事の時給、最低時給だって。これならレストランの方がよくない?」と普通の事務職を断ってでもレストランになびく日本人のセンスにがっかりするものを感じるのです。

インフレが問題になっていますが、客から見たレストランの出費には最近は心が痛むこともしばしばです。なので飲みに行ってもカウンターでビールと「あて」のつまみをちょっとだけで「食べる」という行為は減った気がします。そんな中、昔と変わらぬお運びさん型のレストランで正々堂々18%のサービス料を頂きますって何かおかしいですよね。

この習慣がすぐに変わることはないかもしれないけれど、変えようとする社会風潮は必要だと思ってます。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年9月3日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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