1980半ばから1990年代にかけて起こったバイクブームの中心的なジャンルと言えば250㏄クラスの「レーサーレプリカ」と言えるでしょう。
当時、各メーカーが開発競争を激化させていった結果、規格外のエンジン出力を有したバイクが誕生しました。しかし、排気ガス等の環境対策への懸念が世界的に問題から、次々と生産中止になり姿を消していったそうです。
今回はその希少性が都市伝説になりかけている?かもしれない、2ストロークマシン(以下2ストマシン)についてご紹介していきます。

その規格外のパワーが特徴的なため「2ストロークマシンはとにかくヤバい」というイメージを持っている方もいるかも知れません。40代以上であれば、実際に見て触ったことがあるライダーも多いでしょう。一方、10~20代のライダーにとって2ストロークマシンは「昔のバイク」と感じてしまうのではないでしょうか。
レーサーレプリカ

現在私の年齢は30代後半。当時、幼い日に感じていた「バイク」のイメージは、赤や青の模様が施されて左右には大きな“英語”の文字が書かれているものだと思っていました。それがエンジンオイルやタバコメーカーであったことに気付くのは中学生くらいになってからだったと思います。バイク=レプリカと子供が感じるほど当たり前のように走っていた2ストマシンですが、現代において所有する人は少なくなり、エンジンが動くだけでも価値あるバイクといえるでしょう。
TZR250RS

今回レビューするのは、ヤマハの1992年式TZR250RS。TZRシリーズにはスタンダード”TZR250R”、そしてレーサー要素満点の“TZR250R SP”というグレード等が存在しており、ストリート向けの”R”とサーキットスペックの”SP”の中間的存在としてTZR250RSが登場しました。”RS”の特徴としてはパワーロスが少ないとされる「乾式クラッチ」が搭載されており、スタンダードモデルとは一線を画すモデルだったようです。
パワーウエイトレシオ

2ストマシンの特徴であるエンジン出力については、250㏄クラス最上位に位置しているTZR250RSですが、その特徴ともいえるパワーウエイトレシオを算出してみましょう。計算方法は、以下の通りです。
(車両重量+体重)÷馬力 = パワーウエイトレシオ(※小数点以下は四捨五入)
今回はライダーの体重を60㎏とした場合、TZR250RSは車両重量151㎏、ライダー体重60㎏、馬力が40psという数値を当てはめて計算する事になります。また、ご自身の体重を当てはめると、ライダーそれぞれに対応したより詳しい数値を算出することができます。さて、TZR250RSの計算に話を戻すと、車両重量151㎏、ライダー体重60㎏、馬力が40psになります。これを計算すると・・・
TZR250RS (151+60)÷ 40=5.3
という計算式が成り立ちます。したがってパワーウエイトレシオは「5.3」という数値になります。
次に、人気の車種や多くのライダーが乗ったことのある車種のパワーウエイトレシオを計算してみました。全くジャンルが異なる車種を紹介する為、加速性能について比較するわけではなく「2ストローク250㏄エンジン」「レーサーレプリカ」という加速性能や出力等の特異性を考えてみましょう。
ホンダ レブル250 (171+60)÷26 = 8.9

ヤマハ YZF-R25 (169+60) ÷ 35 =6.6

ホンダ CB400SF‐K 教習車使用 (207+60)÷56 = 4.7

2ストマシンの規格外の加速性能については、そのエンジンの特徴ともいえる8000回転ほどから始まる「パワーバンド」というエンジン回転数の領域を指しているのかもしれません。このパワーバンド領域を使って走ると、現代のバイクでは味わえない2サイクルエンジンならではの猛烈な加速感を体感できます。ただし、公道走行においては法定速度や制限速度を軽々とオーバーするため、コンプライアンスの観点からみても運転しにくい代物になっているかもしれません。
