これから宿泊施設が高くなる理由
最近、どこの街でもスーツケースを持った外国人の姿をよく見かけるのは気のせいではない。日本政府観光局の発表によると、2023年の6月の訪日外国人数はコロナ前の7割の水準を回復。2023年推計値は5.9兆円とすでにコロナ前を超えたのは、円安による消費が旺盛な理由もあるはずだ。
溜まっていた消費意欲が爆発したことで、観光客は大いに日本旅行を楽しんでいるようである。日本経済へマネーの循環が起きていること自体は大変喜ばしいことだ。
それに伴って宿泊産業は大盛りあがりだ。筆者がビジネスホテルに宿泊した時も、大幅な値上げが続いているにも関わらず、同じホテルに連泊したくても全室予約済で、泣く泣く別のホテルを必死に探して予約を入れるということが何度もあった。
値段が上がっているのに、予約が全然取れないのは外国人観光客の利用が増えているからだろう。実際、フロントや朝食会場は英語、韓国語、中国語が飛び交っていた。
売上があるのに人手が足りない。人件費の賃上げで人を集めて宿泊料へ価格転嫁することでしか対応する方法はないだろう。そしてこのトレンドは加速する。なぜなら日本の労働力は減少し続けることが確定的である一方、日本にやってくる外国人観光客は増え続けているからだ。
日本経済全体で見れば、外国人観光客が見向きもしない状況よりはるかに良いはずだが、この値上げは日本人消費者には逆風になる。日帰り旅行ならまだしも、家族でそこそこのグレードのホテルに泊まるのはハードルが高くなってしまうのだ。
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ハードルが高くなった海外旅行で、国内旅行へスイッチする人も増えたがここへ来て、今後は国内旅行もハードルが高くなる公算が大きい状況が浮き彫りになった。ホテルや旅館ではなく、エアビーアンドビーやネットカフェなどの簡易宿泊に注目が集まることで、こちらも盛り上がる可能性もある。
いずれにせよ、国内旅行における環境変化の認識をすることで、豪華な国内旅行は早めにいっておく方がいいかもしれない。
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