20、30代は3人の方々だ。作家の古市憲寿さんは、「コロナ禍の3年間、人々はこんなに簡単に同調圧力に屈する、一方向に流れるんだということが、ショックだった」と話す。古市さんの危惧は、戦時中の空気を知っている僕としても、よくわかった。
社会起業家の石山アンジュさんは、「もはや戦争は過去のものではない、と感じる年だった。『若い世代は戦争を知らない』とメディアは報じるけれど、ネットでつながっている世代だからこそ、ウクライナの戦争は身近に感じる」と言う。
被爆三世であり、核廃絶のため活動する中村涼香さんは、「歴史を学ぶ意義は、過去に何が起きたかを教訓として、同じ失敗を繰り返さないこと」と語った。
昨年12月、政府は、防衛費43兆円という、大幅な増額を閣議決定したことも、「朝生」で議論した。ウクライナ戦争、台湾有事への備えなど、世界の情勢が緊迫しているのはわかる。
しかし、国民に丁寧にそうした状況を説明もせず、国会を開くのではなく、なぜ「閣議決定」なのか。こうした政府の態度が、政治と国民との分断を生むのではないか、という意見が出た。まったく同感だ。
視聴者の皆さんに、「日本の平和は続くと思う?思わない?」という質問を投げかけると、印象的な答えをたくさんいただいた。その一つが、「平和とは『続く』か『続かない』かではなく、続けなければいけない」というご意見。まさにその通りである。
また、「もし日本が戦争をしたり、巻き込まれたりするなら、それはどんな事態か、どうやったらそれを回避できるか、必死で考えれば平和は続けられる」という意見も強く心に残った。折しも、番組が終わる頃、キャンプデービッドでの、日米韓3首脳の記者会見が始まった。
森本敏さんによれば、この首脳会談は、「ターニングポイント」だという。「ウクライナ戦争の出口が見えず、アメリカだけではやっていけない。日米韓の連携を一層強化して、北東アジアの安全保障の枠組みを作るために、どうしたらいいか、というのが今回の会談の狙い。日本の役割の度合いは、質量ともに大きくなる」と解説してくれた。
つまりは、日本が戦争に参加する、その可能性も非常に高くなるということだ。日本の岸田首相、そして政治家たちに、先ほどの視聴者のご意見を伝えたい。「もし日本が戦争に巻き込まれるなら、それはどんな事態か、どうやったらそれを回避できるか、必死で考えれば平和は続けられる」。
編集部より:この記事は「田原総一朗 公式ブログ」2023年8月25日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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