私が特に注目しているのは不動産価格で東京など都市圏の価格は目を見張るものがあります。マンションへの強い引き合いもあり、この10年で概ね4割程度上昇しています。(場所によります。)これは80年代のバブル期には及びませんが、ミニ不動産祭りといってもよいでしょう。この背景はいくつかありますが、資材価格と労賃の上昇している上に適正価格で仕入れられる土地が減っていることがあります。それを受けて中古市場も引っ張られるのが流れです。

しかし人口減でこんな価格で誰が買う、なのですが、外国人の底支えは確実に無視できないレベルにあるとみています。戸建てではなく、マンションというのがミソで管理が楽なのでセカンドホーム的に購入する人も当然います。以前「何かあった時のために疎開できるところを確保する話」を申し上げましたが、一部の国の人にとっては東京や大阪、福岡など東アジアとの利便性が良いところは絶好の疎開地になるのです。

バンクーバーやトロントの不動産が中国人により押し上げられた事実はあまりにも当たり前すぎる話ですが、これが日本でも起きる公算はあります。ではカナダ人はそれにどう反応したか、といえば結局、彼らも溢れんばかりの財を成したわけで中国人がかつて買い上げた不動産の影響力がなかったと言えばうそになるでしょう。

ところで日本は資源国ではないけれど新たな資源国になりそうです。ここを黒田前日銀総裁は甘く見た、これが私の今日、指摘したいポイントです。日本が求めているのは石油や鉱物資源。これは世界物価ですから日本だけが恩恵を受けるわけではありません。よってこれが値上がりすれば日本の物価も当然上がります。では日本が新たな資源国という部分は何か、といえば水です。これはあと5年もすれば輸出ビジネスに転換できると思います。世界は乾いているのです。

では、その水をふんだんに使ったコメ。これが小麦の不作や供給不足の代替になる公算はあります。カリフォルニア米は長年日本産コメの半額以下でした。カナダでは価格差が縮まってきており、報道によればアメリカの一部ではほぼ並んでいるとあります。コメは栽培に水を大量に使う点で小麦よりもはるかに贅沢なのだ、という意識が生まれれば日本のコメは飛ぶように売れるようになり、日本人の胃袋に収まらないという笑えない話もあるのかもしれません。

コロナはあらゆる常識を打ち壊しました。私が見る次の試練は異常気象と「かの国からの脱出者」だとみています。それまでの当たり前が当たり前ではなくなった時、物価は想定外に飛び跳ねることもある、ということを肝に銘じておいた方がよいと思います。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年8月30日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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