次に苦労なく上の立場になれるからだ。会議室で新案を出すのは大変な労力を必要とする。資料をまとめたり調べたり苦労して作り上げるが、多くの評論には準備が要らない。その場で自分が見つけた粗を取り上げ「ここがダメ、あそこがダメ」といえば、自分が上の立場になった気になってしまう。

だがこれがプロの評論だと話がぜんぜん違う。プロは評論に根拠がなかったり、明確な過ちがあると今度は自分がマーケットから批判を受ける立場になる。つまり、無責任に発言ができず、大きなリスクを背負っている。そのため評論をする前に彼らは大変な労力をかけて自分の主張根拠、データを収集した上で誤解のないワーディングチョイスに奔走する。このような違いがあるのでプロの評論には傾聴に値する価値がある一方で、アマの評論と大きく異なるのだ。

以上2つの理由から、実務家よりも率先して口先評論家になりたがる人が多い。

口先評論家より実務家を目指しなさい

ビジネスマンは口先評論家より、実務家を目指すべきだと考えている。その理由を取り上げたい。

仕事をする上で最も難しいのは、アイデアを出すこと以上にアイデアを実際の形に変える部分である。「自分しか知らない画期的なアイデアを思いついた!」といっても、世界中に大勢のビジネスマンがいる。この場合はすでに同じアイデアはすでに100、200と出ていると考えるべきだろう。

実際、多くのアイデアがすでに世の中に出ていても、そのほとんどは具現化されない。その理由はそれだけ、アイデアを形にする実務家が少ないということの証拠である。実務家になって、世の中の役に立つ商品サービスのアイデアを実際の形に変えればいい。

また、ビジネスとは原則として顧客の課題を解決する行為である。だが、課題解決をするためには、口を動かすのではなく手を動かさなければ1歩も前に進まない。会社で仕事をすると「あるべき論」をひたすら言い続ける社員がどこにでもいるものだが、周囲は「口より手を動かせ」と考えるものではないだろうか。

正直、口先評論家にはあまり強い需要はない。なぜならどんな時代でも常に供給過多になっており、加えてその評論の妥当性や主張根拠に乏しく、聞いている側にメリットがないことが多いためだ。それより顧客の課題を解決するために実際に手を動かして行動する実務家を目指すべきなのだ。こちらは需要も常にあり、なおかつ自分自身もビジネスマンとして成長が約束されているだろう。

 

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