この過剰摂取の背景は社会事情にあることはほぼ確実でストレスフルな社会でメンタルを維持できないわけです。私どもが現在営業免許申請をしている老人のグループホームの運営に関しても州政府からオピオイドやタバコの管理と過剰摂取の対策についての処遇策提示が必須の条件となっています。日本ではそこまでは無いと思います。

医療用麻薬の服用は当たり前で私の知り合いも骨盤に問題があり激痛で歩きにくい状態になり医者にモルヒネをくれ、もっと強い薬をくれといつも要求しています。こう見ると若者のし好、中年層のストレス制御、高齢者の痛み止めなど麻薬はごく普通にありふれているとも言えるのです。

カナダでは医学的にタバコ吸うなら大麻がまだまし、とされます。なぜかといえばタバコは肺がんなど身体的に負担が大きいものの大麻はそれが比較論として軽微であるからとされます。ある意味、欧米の論理思考に基づく説得力であり、近々ドイツも解禁されるでしょうし、アメリカも州ベースでは多くが合法化しており、連邦ベースで禁じているのは形骸化とも言えます。

ところがアジアでは非常に厳しく取り締まられます。個人的に思う理由の一つは中国のアヘン戦争が歴史の汚点としてまだ鮮明に記憶にあることが上げられます。アヘン問題は1840年の英国と中国の問題だけだと思っている人が多いと思いますが、実は戦前、日本は満州で大量のアヘンを栽培し、それを売りつけることで日本軍の莫大な機密費を作ったとされ、その一人が岸信介氏だったことは公然の秘密であります。

欧米とはそのあたりの発想の違いが背景にあるのでしょう。結局、最大の問題は生きづらい社会が形成されていることではないかと思います。極度のプレッシャーなどに耐えきれない人たちが手を伸ばす点において「大麻の禁止」は分かるけれどではその対策に何ができるのか、代替案を出さなければ問題の本質解決にはつながらないと考えています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年8月27日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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