24日より福島原発のALPS処理水の放出が始まりましたが、これまた風評被害による水産物の価格が下落気味でいささか気がかりです。モニタリングを丁寧に行い、安全性を強く発信するとともに、価格に対する補償を迅速に実行することによって、漁業者の生活を守ることこそが政府・与党の使命です。中国の、ためにするとしか思われない輸入制限にも決して負けてはなりません。「漁業者に寄り添う」という言葉が実感していただけるように、最大限の努力を致してまいります。
24日早暁の北朝鮮による衛星発射は、失敗に終わったとはいえ、我が国や周辺地域に対する大きな脅威です。同じ弾道ミサイルの技術を用いてはいても、ミサイルと衛星の発射とは大きく異なるものであり、国民に対する情報の発信にはより緻密さが要求されると感じております。
宇宙空間で第一宇宙速度に達し、衛星となって地球を周回する軌道に乗るためには、弾道ミサイルとは初速等々が大きく違うはずで、「正しく怖れる」ためにもここをよく説明していく必要があります。
24日午前4時からのニュースでは、沖縄県地方に向けて「頑丈な建物に非難し、近くにない場合は出来るだけ窓の近くから離れるように」との政府からの指示が繰り返されていました。
ほかに手立てはなかったのでやむを得ないものだったのでしょうが、この指示の発信方法についても、一つ間違えれば大パニックにもなりかねないものであり、更なる工夫が必要です。大きな拒否的抑止力となるシェルターの整備の緊要性について、機運が高まるように努めてまいります。
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私の母校である慶應義塾高校が107年ぶりに優勝し(前回1916年は、慶應義塾普通部として第2回全国中等学校野球大会で優勝。甲子園球場はまだ建てられておらず、会場は豊中球場だったとか)、卒業生として本当に嬉しく思うとともに、半世紀も前の高校時代を懐かしく思い返したことでした。
年間の半分近くがお休みで、特段の禁止事項はない代わりに自己責任が厳しく問われる、という実にユニークな(いい加減な?)学校でしたが、後輩諸君は文武両道に励んでいるようで、実に立派なものだと思いました。

優勝した慶応高校 NHKより
甲子園で流される「慶応高校校歌」は、幼稚舎(小学校)から大学院までの「慶応義塾塾歌」であって、「慶應義塾高校の歌」は別にあるのですが、結構いい歌なのに在校生の多くがその存在すら知らず、体育会の試合でもセレモニーでも全く歌われることのない、実に不思議な歌です。
今は知りませんが、私が高校生時代、音楽を選択した者は一年生の4月にポピュラーな「塾歌」「若き血」「慶応賛歌」から「丘の上」「三色旗の下に」、果ては「福沢諭吉ここにあり」に至るまで、徹底的に慶應義塾の歌を教え込まれたもので(音楽の教師が女優の紺野美沙子さんの父上であったことは大学卒業後に知りました)、超マイナーな「慶応義塾高校の歌」が歌えるのはこのような人々に限られるのです。
慶應社中総出の感もあった甲子園での応援ぶりがあまりに盛大かつ強烈であったことが一部で批判の対象となっています。神宮球場の春秋の早慶戦では当たり前の光景ですし、そこまで目くじらを立てることではないようにも思われますが、他人様に不快な思いをさせてはならず、品位の問題との指摘もあることですから、今後よく検討するに越したことではないのでしょうね。
厳しい残暑が続いております。今年はこの時期になっても夏の終わりを知らせるつくつく法師の鳴き声が聞こえず、異様な感じがしております。夏の終わりの寂寥感が好きで、荒井由実の「晩夏ひとりの季節」(1976年)を聴いてみたくなるのですが、晩夏も初秋もないままに季節が移っていくとすれば、なんとも味気ないことです。
皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。
編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2023年8月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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