データサイエンティストとはビッグデータを分析し、組織や社会の課題解決に役立てる仕事です。

本記事ではデータサイエンティストの仕事内容や求められるスキル、平均年収などを紹介します。未経験から目指す方法も解説します。


本記事の内容をざっくり説明



  • データサイエンティストの仕事内容や平均年収

  • データサイエンティストになる方法と求められるスキル

  • データサイエンティストのキャリアパス



データサイエンティストとは?

データサイエンティストとは、ビッグデータの分析・活用により組織や社会の課題解決、施策改善などを行うデータサイエンスに携わる専門職です。

データサイエンスには従来的な統計学の知識に加え、「IoT」「ディープラーニング」「データベース」などのさまざまな知識が、高いレベルで必要です。

これらの広範かつ高度な知識とスキルを備えた人材がデータサイエンティストであり、彼らはより良い組織や社会をつくるために、多くの企業や公的機関から求められています。

データサイエンティストの平均年収

出典:データサイエンティストの仕事の平均年収は699万円/平均時給は2,606円!給料ナビで詳しく紹介|求人ボックス

さまざまな職種の求人情報の一括検索サービス「求人ボックス」の調査によると、データサイエンティストは正社員で平均年収699万円、派遣社員で平均時給2,606円といわれています。

日本の平均年収は443万円といわれています。データサイエンティストの平均年収は日本全体の約1.57倍であり、なかなかの高水準といえるでしょう。

なお、データサイエンティストには企業に所属しないフリーランスもいます。フリーランスは職種によらず収入額のバラつきが大きいですが、営業力やスキル次第で正社員以上の年収を得られることも多いです。

働き方にかかわらず、データサイエンティストは高水準の収入を得られるといえるでしょう。

データサイエンティストの主な仕事内容

データサイエンティストの仕事はデータサイエンスであり、その仕事内容はデータサイエンスの大まかな流れに沿っています。データサイエンティストはどんな業務に携わっているのか、彼らの主な仕事内容を紹介します。

データサイエンティストの主な仕事内容


  • 分析環境の構築・管理

  • データの収集

  • 仮説の立案

  • データの前処理

  • データの分析

  • レポートの作成と提言

分析環境の構築・管理

データの分析や活用をするには、そのための分析環境の構築・管理をしなければなりません。これをデータサイエンティストが行うこともあります。

データ分析の前段階には、膨大なデータを整理して保管したり、扱いやすいようにフォーマットを統一したりといった工程があります。データサイエンスで扱うデータは膨大かつ複雑で、さまざまな内容・形式のデータがシステム内に混在することになるでしょう。

そのため、システムには大きな負荷がかかります。この負荷を少しでも軽くし、より正確によりスピーディにデータを処理できるような環境が必要です。

もちろん、分析環境は一度構築して終わりではなく、保守・管理しなければなりません。また、分析環境を構築する各種ツールの選定も必要です。

このように、データサイエンティストにはインフラ部分やツールに関する知識も求められます。これらに関する情報は日々変化していくため、アンテナを広く張り、最新情報をキャッチする情報感度の高さも重要です。

データの収集

分析のためのデータを収集するのも、データサイエンティストの仕事です。

データは闇雲に集めればいいわけではありません。たとえばマーケティング施策の改善が目的なのに、従業員の労働時間に関するデータを集めても意味がないでしょう。

この場合、オウンドメディアやSNSなどのアクセス・Web行動に関するデータ、顧客アンケート、各店舗の客数・客層・客単価などの顧客データなどが必要です。

このように、目的のためにはどんなデータが必要なのかを考え、提言するのもデータサイエンティストの重要な役割です。

これらのデータは社内に点在していることもあれば、顧客アンケートのように新たに収集しなければならないデータもあるでしょう。必要なデータを決め、それをどのような方法で集めるか考えたり、各システムからデータを集約したりするのもデータサイエンティストが行います。

仮説の立案

先述の通り、データ分析にはマーケティングの強化・改善のような「目的」があります。何のために、どんなデータ分析をするのか、仮設を立て判断を下す層に提案するデータサイエンティストもいます。

仮説とは、たとえば「AとBにはこのような関係があると考えられるため、αを行うことで客数を増やせるのではないか?」のようなものです。日常業務やすぐに見られるデータなどからこのような気づきを得て、その仮説を検証するためにデータ分析が必要だと提案します。

そのためには、自社(もしくはクライアント企業)の事業や業務、社会のトレンドや市場の流れなどについて理解していなくてはなりません。IT分野だけでなく、社会と市場に広くアンテナを張り続けることが、データサイエンティストとしての能力を高めてくれるでしょう。

データの前処理

データサイエンスにおいて、「データさえ集まればすぐに分析に移れる」ということはあまりないでしょう。データサイエンスに必要なデータは膨大かつ複雑で、その内容やフォーマットも多岐にわたります。

そのままの状態ではデータ分析ができないことがほとんどです。データのフォーマットやデータ内の単位の統一、項目の整理などが必要です。

データの分析

収集したデータの前処理が済んだら、いよいよデータ分析です。データから月ごと・シーズンごとの傾向を見つけたり、データ同士の相関性を探したりします。

たとえば月ごとの客数の増減や客層の変化などのデータと、店舗周辺のイベントといった複数のデータを俯瞰すると、「このイベントがある日は女性客が増える」のような洞察が得られるでしょう。

データを定量化・定性化し、グラフや表、人間にとってわかりやすい説明などに置き換えることで、データに隠された意味を見つけやすくなります。

レポート作成と提言

データサイエンスの目的はデータを得ることではなく、目的のためにデータを活用することです。データ分析により見出した「事象同士の相関性」「時期ごとの傾向」「分析を踏まえた将来の予測」「最適と思われる対応策」などをレポートにまとめ、提言します。