新型の足回りはしなやか。マニア垂涎の6速MTは楽しい

走り始めて新型の変化を直感した。見た目の過激な印象がウソのように乗り心地が洗練されていて、タヌキに化かされているような思いに駆られた。とにかくサスペンションの動きが滑らかで、ゴツゴツした印象がない。おまけに、高速巡航時のロードノイズは十分に低く、エンジン音さえほとんど目立たない。古くからのMファンだったら、ちょっと拍子抜けするほどの快適性と静粛性に仕上げられている。

新型M2には6速ギアボックスを搭載したMTモデルと8速Mステップトロニックを積むATモデルが用意される。試乗車はよりスパルタンなMTモデル。試乗の折、私は、間の悪いことにソールがワイドなジョギングシューズを履いてきてしまい、フットレストの影響で左足のスペースが限られたクラッチペダルを踏むのに難儀することになったのだが、考えてみれば、こんな経験をするのも本当に久しぶりのこと。まずはドライビングポジションをしっかり合わせ、ステアリングやペダル類を的確に操作できるように体勢を整えてから、M2のドライビングを楽しんだ。

【最新モデル試乗】絶品Mパワー・ストレート6+6MT。BMW・M2はすべてでドライバーを魅了する!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】絶品Mパワー・ストレート6+6MT。BMW・M2はすべてでドライバーを魅了する!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

ワインディングロードで新型M2は期待どおりの走りを披露してくれた。ハンドリングの傾向はM3/M4と同様で、しなやかな足回りを駆使して極めてスタビリティの高いコーナリングを実現している。それどころか、「スポーツ+」という最もスパルタンなドライビングモードを選んでも、サスペンションがほどよくストロークしてロールやピッチといった姿勢変化を許すほど。もちろん、それらの量はしっかりとチェックされているので不安はない。新型は、かつてのMハイパフォーマンスモデルとは比べものにならないほどしなやかな足回りの持ち主である。

陶酔のMパワー! 速さと豪快さ、そして洗練が融合

【最新モデル試乗】絶品Mパワー・ストレート6+6MT。BMW・M2はすべてでドライバーを魅了する!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

460ps/6250rpmと550Nm/2650~5870rpmを生み出すストレート6は、そのスペックから想像されるほど凶暴ではない。回転数を問わずリニアでレスポンスのいいパワーを生み出してくれる。注意深く観察すれば、ストレート6らしい魅力的な鼓動もしっかりと感じられるのが素晴らしい。物足りなさはゼロといっていいだろう。

【最新モデル試乗】絶品Mパワー・ストレート6+6MT。BMW・M2はすべてでドライバーを魅了する!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】絶品Mパワー・ストレート6+6MT。BMW・M2はすべてでドライバーを魅了する!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

想像するに、スーパースポーツカーを含むすべてのハイパフォーマンスカーが洗練の度合いを増していくなか、Mモデルだけが旧来のやり方にこだわるわけにはいかなくなったのだろう。つまり、一定の顧客を確保してビジネスとして成立させるために、新型M2のような「進化」は必要不可欠だったのである。けれども、週末のたびにニュルブルクリンクのノルドシュライフェに通うようなハードコアなBMWファンにとって、ハイパワーなストレート6と後輪駆動、それにマニュアルトランスミッションという組み合わせは譲ることのできないスペック。そこで生み出されたのが新型M2だったと推測される。

なお、M3/M4と同じようにこのM2にもMトラクションコントロールが装備されている。電子デバイスというセーフティネットを残したまま大胆にドリフトを味わう運転も可能であることを、最後に付け加えておきたい。